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遺留分を請求されたら、こう対処する!|弁護士による相続SOS

最終更新日 2026年 01月29日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

遺留分を請求されたら、こう対処する!|弁護士による相続SOS

この記事を読むとわかること

ある日突然、内容証明郵便で「遺留分侵害額請求」をされる場合があります。

差出人は会ったこともない弁護士。

内容を確認すると、自分以外の相続人(兄弟姉妹など)が親の遺産について遺留分を要求し、その手続きなどを弁護士に依頼したようです。

「今後は依頼人に直接連絡せず、代理人である弁護士◯◯宛てにご連絡ください」
などと書かれています。

これは一体、どういうことでしょうか?

遺留分を請求されると、被相続人(亡くなった親など)から引き継いで自分の財産だと思っていたものを相手に渡さなければいけない可能性があります。

実際は、相手に取り戻されてしまうわけですが、横取りされるような気がしてしまうかもしれません。

しかし、法的に正当な相続人からの遺留分請求であれば応じる必要があります。

そこで、本記事では「遺留分」を請求されたときの対処法について解説していきます。

遺留分とは……

一定の法定相続人(兄弟姉妹を除く)に最低限保障された「相続財産の取り分」のこと。

遺留分が発生する典型的な
ケースは……

  • 遺言により特定の相続人の相続分が
    極端に少ない場合
  • 生前贈与で特定の相続人や第三者に
    多く渡していた場合
  • 相続財産のほとんどを特定の人に
    遺贈する遺言がある場合 など

遺留分を請求されたときの
対処法は……

  1. 請求内容の確認
  2. 遺留分の有無と割合の確認
  3. 遺留分の再計算
  4. 相手方との話し合い(交渉)
  5. 合意不成立の場合は
    弁護士などへ相談 など

これらの内容を踏まえながら、

  • 遺留分が発生する具体的な例
  • 遺留分の基礎知識
  • 相手に遺留分を渡さなくてもいいケース
  • 遺留分を請求されたときの対処法

などについて、できるだけわかりやすく解説していきます。

ぜひ最後まで読み進めて、遺留分の正しい知識を知ってください。

目次

こんなとき遺留分が発生する!
11のケースを解説

まずは、どういった状況・ケースで「遺留分」が発生するのかについて、

  1. 典型的な例
  2. なぜ遺留分が問題になるのか
  3. 実務上の注意点

という形で、相続実務や裁判例でよく問題になるものも含めて解説していきます。

遺言・遺贈に関するケース

全財産を特定の相続人に
相続させる遺言があった場合

「全財産を長男に相続させる」、「長男と次男に財産を渡し、長女と次女には渡さない」といった遺言があった場合、他の子や配偶者などの相続人の相続分が0(ゼロ)になってしまうため、典型的な遺留分侵害のパターンになります。

遺言は原則として最優先されますが、仮に「自分が長年、親の世話もしてきた」という理由や思いがあったとしても、遺留分については法的に別の問題になります。

全財産を相続人以外の
第三者に遺贈した場合

遺言によって、亡くなった人が財産を特定の個人や団体に無償で譲ることを「遺贈」といいます。

遺贈では、法定相続人以外(愛人・友人・慈善団体など)にも財産を引き継がせることが可能で、遺言者の意思を反映できるという特徴がありますが、そのために相続トラブルが起きる可能性もあります。

たとえば、「すべての財産を内縁の妻に遺贈する」という遺言があった場合、法定相続人(配偶者や子など)が完全に排除されるため、内縁配偶者・知人・法人等への遺贈では高確率で紛争化するでしょう。

相続分を極端に差別化した
遺言があった場合

特定の相続人の取り分が極端に少ないケースや、一応相続はさせているが遺留分未満である場合では、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」をすることができます。

事業承継型遺言の場合

事業承継の際、後継者に会社株式や事業用不動産を集中して相続させるケースです。

会社株式や事業用不動産は評価額が高くなることが多く、その結果、他の相続人は遺留分を侵害されるため、金銭を請求するケースがあります。

そのため、事業継続に支障をきたす場合があり、慎重な対応が必要となります。

生前贈与に関するケース

特定の相続人への
多額の生前贈与があった場合

被相続人が生前に特定の子どもへ多額の贈与(生前贈与)をしていたケースです。

たとえば、長男に住宅購入資金として5,000万円を贈与、他の子には贈与なしなどのケースでは「贈与だから相続と無関係」とはなりません。

なぜなら、他の相続人の遺留分が侵害される可能性が高く、相続開始前10年以内の相続人への贈与は遺留分算定に含まれるかことが多いからです。

さらに、10年以上前の贈与でも対象になる場合があることに注意が必要です。

相続開始直前の
駆け込み贈与の場合

たとえば、死亡の1年以内に法定相続人以外の第三者へ生前贈与していたケースは「遺留分逃れ」と判断される(死亡時期が近いほど不利)可能性があります。

婚姻・養子縁組と
セットの贈与の場合

再婚相手への不動産の生前贈与や養子に多額の財産を集中贈与していた、といった場合、他の相続人の取り分が大幅に減少してしまう可能性が高いため注意が必要です。

こうしたケースは再婚家庭で特に紛争化しやすく、感情的な対立が激化しやすいといえます。

家族関係が複雑なケース

再婚の配偶者と
前婚の子がいる場合

それぞれが法定相続人となり、利害が真っ向から対立するため感情的対立が激化しやすく、遺留分が問題となる可能性があります。

ほぼ交流がない子からの
請求の場合

被相続人が認知していた子や長年疎遠だった子がいるケースでは、突然、遺留分の請求が届く可能性があります。

感情的には遺留分を渡したくないとしても、法的には遺留分権利者であるため無視はできません。

その他のケース

遺産の引き出しがあった場合

被相続人の生前に、特定の相続人(財産管理をしていた相続人など)が預金を引き出していたケースでは、生前贈与があったと認定されることがあり、遺留分侵害の対象となることがあります。

相続放棄・遺留分放棄を
している相続人がいる場合

相続放棄・遺留分放棄をすると、その人の遺留分は認められなくなります。

その結果、他の相続人の取り分が増えるため、相続人の間で遺留分侵害が発生しやすくなってしまいます。

遺留分がよくわかる!
押さえておきたいポイント解説

次に、遺留分について知っておくべき知識、ポイントを簡単に解説します。

相続に関わるのは誰か?

被相続人

財産を残して亡くなった人(故人)のことで、遺産相続において使われる法律用語。

相続人

亡くなった人(被相続人)の財産や権利、義務を実際に引き継ぐ人。

法定相続人

被相続人の財産を相続できる(権利をもつ)人で、民法で定められている。

配偶者はつねに相続人となり、子や孫などの直系卑属も同様に必ず相続人になる(第1順位)。

直系卑属がいない場合は直系尊属(親や祖父母など)に相続人の権利が移行(第2順位)。

直系卑属も直系尊属もいない場合は兄弟姉妹に相続権が移る(第3順位)。

遺留分とは?

前述したように、法定相続人が最低限受け取ることができる相続分が「遺留分」です。

遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求」を行うことで、不足分に相当する金銭の支払いを請求できます(なお、現在は原則、遺留分は不動産などの物ではなく、金銭で請求されます)。

ところで、相続の世界ではまず遺言書の有無が第一のポイントになります。
というのは原則、法的には法定相続よりも遺言による相続が優先されるからです。

たとえば、法定相続人が配偶者(妻)と子(息子3人)のケースで考えてみます。
被相続人(夫であり父)が亡くなり、遺言書が見つかりました。
そこには「財産はすべて、内縁の妻とその子に遺贈する」と書かれていたとします。
この遺言書の内容が優先されるなら、妻と子は法定相続人にも関わらず遺産を相続することができません。
このような場合に、遺された近親者の生活を保障する制度としての遺留分があります(民法第1042条~1049条)。

つまり、「遺留分侵害額請求権」は遺言の内容によって奪うことはできないもの、ということになります。

遺留分でおさえておくべき
5つの注意ポイント

「遺留分」についておさえておきたい5つの注意点は以下の通りです。

一つずつ詳しく解説します。

請求しなければ遺留分は
受け取れない!

遺留分は、権利のある人に自動的に支払われるものではありません。

遺留分を受け取るためには、権利を持つ法定相続人が「遺留分侵害額請求」をする必要があります。

つまり、相手側から請求されなければ遺留分を渡す必要はないのです。

誰が遺留分の権利者に
なるのか?

法定相続人なら誰もが遺留分の権利を持つわけではありません

<遺留分の権利者>

  • 配偶者
  • 子(死亡している場合は代襲相続で孫)
  • 直系尊属(父・母など)

被相続人の兄弟姉妹には遺留分が認められないことに注意する必要があります。

あなたの受け取れる
遺留分の割合は?

遺留分では、相続分のすべてを取り戻すことはできません。

権利者の違いによって、次のように割合が法的に定められています。

<遺留分の割合一覧表>

相続人遺留分法定相続人の遺留分の割合
配偶者子ども父母兄弟姉妹
配偶者のみ1/21/2
配偶者と子ども1/21/41/4
配偶者と親1/21/31/6
配偶者と兄弟姉妹1/21/2
子どものみ1/21/2
親のみ1/31/3
兄弟姉妹のみ
遺留分法定相続人の
遺留分の割合
配偶者子ども父母兄弟
姉妹
相続人が配偶者のみの場合
1/21/2
相続人が配偶者と子どもの場合
1/21/41/4
相続人が配偶者と親の場合
1/21/31/6
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
1/21/2
相続人が子どものみの場合
1/21/2
相続人が親のみの場合
1/31/3
相続人が兄弟姉妹のみの場合

たとえば、相続人が配偶者と子供1人で、相続遺産が1億円の場合で考えてみましょう。

  1. 上記の表から、遺留分は相続財産の2分の1になります(総体的遺留分)。
  2. これを配偶者と子供で分割します。
     割合は、それぞれ2分の1ずつなので、2分の1の2分の1となり、4分の1となります。
  3. 1億円の4分の1なので、配偶者と子供それぞれの遺留分は2,500万円になります。

個々人の遺留分は、「遺留分全体 × 各人の法定相続分」で計算することを覚えておいてください。

遺留分侵害額請求権の時効に
注意!

遺留分を請求できる権利には時効があります。

つまり、遺留分侵害額請求権は期間限定だということです。

<遺留分侵害額請求権の時効期間>

  • 「相続開始と遺留分侵害の事実」を
    知った日から1年以内
  • 相続開始や遺留分侵害の事実を
    知らずに時が過ぎた場合は
    相続開始から10年以内

時効期間を過ぎると請求できなくなるので注意する必要があります。

遺留分の対象になる
財産の種類は?

ここでは、「遺留分」の対象となる財産の種類を紹介します。

一つずつ詳しく解説します。

【すべての財産】

現金や預貯金、不動産、株式、自動車、宝石等の貴金属類など、相続開始時に被相続人が所有していた財産のすべてが遺留分の対象になります。

借金や税金の滞納分などの負債も相続財産になり、これはプラス分から差し引くので注意が必要です。


【遺贈する財産】

故人が遺言で指定した人に遺産の一部、または全部を譲与することを「遺贈」といいます。

遺産分割との違いは、遺言書によって、相続人や特定の個人以外にも遺産を受け継がせることができるという点にあります。

【生前贈与した財産】

生きているうちに、配偶者や子供、第三者などに財産を無償で譲与することを「生前贈与」といいます。

相続開始より前1年以内に生前贈与した財産が遺留分の対象になり、贈与された人(受贈者)に対して遺留分侵害額請求をすることができます。

なお、1年以上前の生前贈与でも、贈与する側と贈与される側が他の相続人の遺留分を侵害することを知っていて贈与を行なっていた場合は遺留分の対象になることに注意が必要です。

【特別受益による財産】

複数の相続人の中に被相続人から遺贈や生前贈与によって特別受益を受けた者がいる場合、その相続人の受けた贈与などの利益を「特別受益」といいます。

10年以内の特別受益は、相続財産に持ち戻して遺産分割をすることになっており、10年以上前のものでも、贈与する側と贈与される側が遺留分を侵害することを知っていて贈与を行なっていた場合は遺留分の対象になります。

【死因贈与する財産】

贈与者と受贈者の間の契約による合意に基づく贈与を「死因贈与」といい、贈与者が死亡した際に贈与の効力が生じます(民法第554条)。

遺留分を請求された場合の対処法

ここからは、ご自身が被相続人から多く財産をもらった側として、他の相続人から遺留分侵害額請求をされた場合の基本的な対処法と流れについて解説していきます。

手順1:請求内容と期限を確認

内容の確認

相手から内容証明郵便が届いた場合、「誰が」、「どの遺産について」、「いくら支払ってほしいのか」などが示されているはずなので、まずはその金額や根拠を確認します。

時効(期限)の確認

遺留分侵害額請求は、「相続開始と侵害を知った日から1年以内」に行使しなければ時効で消滅します(最長で相続開始から10年)。

そのため、1年を過ぎている請求であれば、時効を主張できる可能性があります。

手順2:
遺留分権利者かどうかの確認
/計算のやり直し

相手が本当に遺留分の権利者か、遺留分侵害があるのかを確認・検討します。

遺留分権利者以外からの請求は拒否することができます。

遺留分の有無と割合を確認

相続人の構成(配偶者・子・親など)に応じて、各人の遺留分の割合を確認し、金額を計算します。

生前贈与や遺贈を含めた
「遺留分算定の基礎財産」を
把握

相続財産の範囲(不動産・預貯金・株式など)を確認し、相続開始時の財産に、一定の生前贈与や遺贈を加えた額を基礎として、遺留分侵害額を算出します。

この計算は専門的な知識がないと難しく、また相手側からの過大な請求のケースも多いため、弁護士などの専門家に相談・依頼するのが現実的です。

特別受益を探す

遺留分権利者に対する特別受益があれば、それを差し引くことになるので、特別受益がないかどうか過去に遡って調査する必要があります。

手順3:話し合いの実施

支払うべき金額がある程度見えたら、「請求額が妥当か」、「分割払いは可能か」、「いつまでに支払うか」などについて話し合いを実施します。

合意できた場合は書面化します。
将来のトラブル防止のためにも、「いくらを、いつまでに、どのように支払うか」、「これで遺留分問題は最終的に解決する」旨を合意書に記載しておくのが望ましいです。

手順4:調停・訴訟への対応
(専門家に依頼)

調停

話し合いでまとまらない場合は、相手から家庭裁判所に調停を申し立てられることがあります。
その場合は、資料を準備し、調停では自身の主張を行う必要があります。

訴訟

調停でも解決しない場合は訴訟に進むことになります。
その場合、裁判所が遺留分侵害額を判断します。

調停・訴訟に進む場合は、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士には、相手側との交渉・調停・訴訟などを依頼できます。

手順5:支払い方法・
資金繰りの検討

現金が足りない場合

遺留分侵害額請求は原則「金銭」で支払う制度のため、現金が足りない場合は次の対応を検討します。

  • 不動産の売却
  • ローン、借入の検討
  • 他の相続人との間での財産調整
  • 支払期限の調整

分割払い・期限の猶予の交渉

一括払いが難しい場合は、相手側と分割払いや支払期限の延長について交渉する必要があります。

なお、裁判所には「支払期限の許与」を請求することができます。
これにより、裁判所が相当の期間、支払いを猶予することを承認してくれる場合があります。

遺留分を相手に
渡さなくてもいいケースとは?

遺留分は、原則として強力に保護されますが、法律上「渡さなくてもよい」と認められるケースがいくつか存在します。

ここまでの内容を踏まえて、相手側に遺留分を渡さなくてもいいケースについて解説します。

相続人が「遺留分の放棄」を
している場合

遺留分放棄は家庭裁判所の許可が必要で、許可が下りればその相続人は遺留分を請求できません。

たとえば、ある相続人が「自分は親の財産はいらない」と考え、生前に家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄したケースなどが該当します。

相続人が「相続放棄」を
している場合

相続放棄をした人は最初から相続人でなかった扱いになります。

相続人でなければ遺留分権利者にもならないため、遺留分請求はできません。

相続人が「相続欠格」に
該当する場合

被相続人を殺害した、遺言書を偽造・破棄したなどの重大な不正行為をした場合は法律上当然に相続権を失うことになります。

そのため、遺留分も失います。

相続人が「廃除」されている
場合

「著しい非行」、「深刻な虐待」、「財産の浪費」などがあった場合、被相続人が家庭裁判所に申し立てて相続権を奪うことができ、これを「廃除」といいます。

廃除が認められれば、その相続人は遺留分も失います。

「時効」が過ぎている場合

前述したように、遺留分侵害額請求には「相続開始と侵害を知ってから1年」、あるいは「相続開始から10年」の時効があります。

時効が過ぎれば遺留分を請求できなくなるため、結果として遺留分を渡す必要がなくなります。

以上、遺留分を請求された場合の対処法などについて解説しました

弁護士法人みらい総合法律事務所は、随時、無料相談を行なっています(事案によりますので、お問い合わせください)。

遺留分でお困りの時は一人で悩まず、まずは一度、ご相談ください。

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