相続手続きは何から始める?初めてでもわかる全体の流れと注意点
相続は1つの手続きで完了するならいいのですが、じつはそう単純で簡単なものではありません。
手続完了となるまでには、さまざまな手続きと手順があるため初めての場合は戸惑ったり、手続きを間違えたり、期限が過ぎてしまって損失を被ってしまうケースもあります。
そこで本記事では、「初めてでもよくわかる相続手続き」というテーマについて、
- 何から始めればいいのか
- どういった手続きが必要なのか
- 損をしないための注意ポイント
などについて解説していきます。
手続きの流れに沿って「手続内容」、「注意点」などを解説しながら、全体の流れがわかるような仕組みになっています。
ぜひ最後まで読み進めて、スムーズな相続手続きの知識を手に入れていただきたいと思います。
①全体像を把握して計画的に進めていく
ことが大切。
②まずは「期限のある手続き」を確認して
優先順位をつける。
③最初に、遺言書の有無の確認と
相続人の確定を行なう。
④亡くなった日から数か月以内の期限に
設定されている手続きが多いため、
期限超過に注意。
目次
必要になる6つの相続手続きの
時期と内容を確認
まずは全体像と流れを把握するために、相続手続きの「内容」や「時期」などについて一覧表で確認しておきましょう。
この流れに沿って進めれば、全体を見失わずに手続きを進めていくことができます。
<相続手続きのスケジュール表>
| 時期 (被相続人の死亡後) | 手続き内容 | 提出・届出先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 7日以内 | ・死亡届 ・死体火葬許可申請 | 市町村役場 | 葬儀をするために必要。 (葬儀社が代行する場合が 多い) |
| 14日以内 | ・年金 ・健康保険の 資格喪失届 ・世帯主変更届 | 市町村役場 年金事務所 | 社会保険と国民健康保険で期限が異なる。 年金は放置すると 不正受給扱いに なることも。 |
| 3か月以内 | ・相続放棄 ・限定承認の検討 | 家庭裁判所 | 期限を過ぎると、 被相続人(故人)の 借金もすべて 引き継ぐことになる ため要注意。 |
| 4か月以内 | 準確定申告 (所得税の申告) | 税務署 | 被相続人(故人)に 事業所得や不動産所得が ある場合に必要。 期限に遅れた場合は 延滞税や加算税を 課される可能性あり。 医療費控除なども 対象になる。 |
| 10か月以内 | 相続税の申告・納付 | 税務署 | 1日でも過ぎると 延滞税がかかってしまう ので要注意。 |
| 3年以内 | 相続登記 (不動産の名義変更) | 法務局 | 2024年4月から義務化 されているため、 放置すると過料 (10万円以下)の 対象に。 |
| 時期 (被相続人の 死亡後) | 7日以内 |
|---|---|
| 手続き内容 | ・死亡届 ・死体火葬許可申請 |
| 提出・届出先 | 市町村役場 |
| 注意点 | 葬儀をするために必要。 (葬儀社が代行する場合が 多い) |
| 時期 (被相続人の 死亡後) | 14日以内 |
|---|---|
| 手続き内容 | ・年金 ・健康保険の資格喪失届 ・世帯主変更届 |
| 提出・届出先 | 市町村役場 年金事務所 |
| 注意点 | 社会保険と国民健康保険で期限が異なる。 年金は放置すると不正受給扱いになることも。 |
| 時期 (被相続人の 死亡後) | 3ヶ月以内 |
|---|---|
| 手続き内容 | ・相続放棄 ・限定承認の検討 |
| 提出・届出先 | 家庭裁判所 |
| 注意点 | 期限を過ぎると、被相続人(故人)の借金もすべて 引き継ぐことになるため 要注意。 |
| 時期 (被相続人の 死亡後) | 4ヶ月以内 |
|---|---|
| 手続き内容 | 準確定申告 (所得税の申告) |
| 提出・届出先 | 税務署 |
| 注意点 | 被相続人(故人)に 事業所得や不動産所得が ある場合に必要。 期限に遅れた場合は 延滞税や加算税を課される 可能性あり。 医療費控除なども 対象になる。 |
| 時期 (被相続人の 死亡後) | 10ヶ月以内 |
|---|---|
| 手続き内容 | 相続税の申告・納付 |
| 提出・届出先 | 税務署 |
| 注意点 | 1日でも過ぎると延滞税が かかってしまうので 要注意。 |
| 時期 (被相続人の 死亡後) | 3年以内 |
|---|---|
| 手続き内容 | 相続登記 (不動産の名義変更) |
| 提出・届出先 | 法務局 |
| 注意点 | 2024年4月から義務化 されているため、 放置すると過料 (10万円以下)の対象に。 |
遺産相続で必要な
8つのプロセス(手順)を解説
次に、遺産を相続する際に必要なプロセスについて、各手続きの内容や注意点も含めて見ていきましょう。
一つずつ詳しく解説します。
相続の手順①相続の開始
親などの被相続人が亡くなると、遺産の相続が開始されます。
まずは、医師から死亡診断書を受け取り、7日以内に市区町村へ「死亡届」を提出。
相続の手順②遺言書の有無を
確認
遺言書の有無をできるだけ早期に確認します。
自宅保管の遺言書、公正証書遺言、法務局保管の自筆証書遺言の確認を並行して進めていきます。
遺言書が見つかった場合は遺言の執行に進みますが、遺言書が見つからない場合は遺産分割協議を行なう必要があります。
遺言書があるかないかで、その後の手続きが違ってくるため自宅や銀行の貸金庫などを確認。
遺言書が見つかった場合
「自筆証書遺言」
- 自筆証書遺言(遺言者が自筆で書いた遺言)を自宅で見つけた場合は、家庭裁判所の検認が必要になります。
- 検認とは、①相続人に対して遺言の存在や内容を知らせる、②遺言書の形状や加除訂正の状態、日付、署名などの内容を明確にする、③遺言書の偽造・変造を防止する、といった目的のための手続です。
- 遺言書が見つかった場合、相続人や保管者は勝手に開封してはいけない(5万円以下の過料)ので注意してください。
「公正証書遺言」
- 公正証書遺言は、公証人が関与して作成するもので、原本は公証役場に保管されます。
- 公正証書遺言の場合は、検認は不要です。
遺言書がある場合、その内容は基本的に法定相続より優先されることに注意。
※法定相続=民法で定められた相続人の範囲や順位、相続割合に基づいて財産を引き継ぐこと。
遺言書が見つからない場合
遺言書がない場合は、相続人の確定、相続放棄や限定承認などの手続きに進みます。
相続の手順③相続人の確定
相続人を法的に確定させます。
誰が相続人になるのかを調査するには戸籍が必要になります。
被相続人:出生から死亡までの連続した
戸籍を収集
相続人:全員が戸籍を取得
- 相続人が曖昧な場合、銀行解約や不動産名義変更で手続きが滞ってしまう可能性があるので注意が必要。
- 途中で本籍地が変わっている(変えている)場合は、複数の自治体に請求する必要がある。
- 前婚の子や認知している子の見落としにも注意。
なお、法務局の「法定相続情報証明制度」を使う方法もあります。
これは、相続人の戸籍謄本などの束の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」1枚で相続関係を証明できる制度で、不動産の名義変更(相続登記)や銀行預金の払い戻しなど、さまざまな相続手続きの負担を軽減することができます。
相続の手順④相続財産の調査
被相続人の死後、遺産の種類や金額等を確定するために資料を集め、遺産調査を行ないます。
調査の結果として、財産目録を作成するといいでしょう。
- 相続では、プラスの遺産だけでなく、負債などのマイナス分も引き継ぐことに注意が必要。
- 借金(負債)があるかどうかの調査は、早めの着手が肝心。
- 金融機関は死亡の事実を知ると口座を凍結するため、早めの調査が重要。
- 近年、ネット銀行の口座の見落としが多発。
プラスの財産:預貯金、株式、不動産、
生命保険など
マイナスの財産:借金、連帯保証、
未払い税金など
具体的な遺産調査には次のものがあります。
<銀行>
- 預貯金通帳を確認
- 通帳がない場合は各銀行での全店照会
- 取引履歴を請求
- 残高証明書の発行
<証券>
- 証券保管振替機構への開示請求
<不動産>
- 市区町村役場で名寄帳や課税台帳を閲覧
- 不動産の全部事項証明書を確認
<負債>
- 個人信用情報機関への開示請求
(負債の調査)
<その他>
- 弁護士による照会
(弁護士法第23条の2に基づき、弁護士会が官公庁や企業などの団体に対して必要事項を調査・照会する制度)
相続の手順⑤単純承認・
相続放棄・限定承認の決定
相続財産の調査の結果を踏まえて、「単純承認」、「相続放棄」、「限定承認」のいずれかを決定します。
- 「相続放棄」や「限定承認」の期限は、相続の開始を知った時(通常は被相続人が死亡した日)から3か月以内。
- すぐに判断できない時は、熟慮期間の伸長申立ても可能。
「単純承認」
- すべての財産(プラス分の資産とマイナス分の負債)を無条件で引き継ぐこと
- 特別な手続きは必要なく、相続開始を知った日から3か月以内に相続放棄や限定承認の手続きをしなければ自動的に単純承認をしたことになる。
「相続放棄」
- 遺産の相続を望まない場合、相続人は相続放棄をすることができる。
- 相続放棄の申請は相続開始後、家庭裁判所に対して行なう。
- プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は相続放棄を検討。
- 遺産の一部だけを相続放棄することはできないことに注意(全部を放棄するか限定承認を選択)。
「限定承認」
- 被相続人のプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も引き継ぐこと。
- 相続開始後、家庭裁判所に対して申述する。
- 負債が資産を上回っても、相続人が自分の財産から負債分を弁済する必要はなくなる。
相続の手順⑥遺産分割協議
相続人全員で遺産の分割方法を協議します。
全員で合意できたなら「遺産分割協議書」を作成し、相続人各自が署名・捺印し、保管します。
合意に至らない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や審判に進みます。
- 相続人全員の合意が必須
(1人でも欠けると無効) - 認知症の相続人がいる場合は成年後見人の選任が必要な場合も。
- 遺産分割協議書は金融機関や法務局でも使用するため実務的な書き方が重要になる。
- 相続人の間の感情的なトラブルが起きる場合は、第三者である弁護士などの専門家への相談や依頼を検討。
相続の手順⑦相続税の申告と
納税
遺産を相続した相続人は、住所地の所轄税務署に申告・納税が必要です。
納税は現金一括が原則ですが、相続税額が10万円以上で納税期限までに金銭で納付するのが困難な場合は延納制度があり、延納でも納税が困難な場合は物納制度があります。
- 相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内が申告・納税の期限。
- 期限を過ぎると延滞税の支払いリスクあり。
- 相続税は、遺産総額が
「基礎控除(3,000万円 + 600万円 ×
法定相続人の数)」を超える場合に申告が必要。 - 相続税の申告については「うちは関係ないはず」と考えて放置しないことが大切。
相続の手順⑧名義変更・
各種手続き
被相続人が所有していた不動産や預貯金、自動車などの財産を相続人が引き継ぐためには名義変更を行ない、所有者を変更する手続きが必要になります。
不動産の名義変更は「相続登記」ともいいます。
必要な手続きには次のものがあります。
- 不動産の相続登記
- 銀行口座の解約や名義変更
- 株式や投資信託の名義変更
- 自動車、保険、公共料金等の変更 など
- 不動産の相続登記は2024年4月から義務化しており、期限は3年以内であることに注意。
- 金融機関ごとに必要書類が異なる。
- 死亡を知った時点で銀行口座は凍結されるため、引き出しには相続人全員の同意や所定の書類が必要
- 生命保険は受取人固有の財産のため遺産分割の対象外。
- 名義変更は遺産分割協議書がないと進められない。
相続手続きをスムーズに進める
ワンポイント知識
法定相続情報の一覧図を
作成する
相続には、さまざまな手続きがあるため混乱しやすく、期限超過のリスクもあります。
こうしたリスクを回避するためには相続情報の一覧図を作成し、法定相続人の間で共有することも検討するといいでしょう。
なお、法務局の制度を利用して家系図のような証明書を作ると、銀行や役所での手続きの際に大量の戸籍謄本を持ち歩かずにすむため便利です。
専門家の活用も検討する
ここまでお話してきたように、相続にはさまざまな手続きが必要です。
難しいため専門家に任せたい、トラブルを法的に解決したいといった事情がある場合は、それぞれに最適な専門家への相談・依頼も検討されるといいでしょう。
司法書士:不動産登記
税理士:相続税などの申告・納税
以上、相続手続きの手順や注意ポイントについて解説してきました。
トラブルを未然に防ぐためにも、また法的に早期解決したい場合も、まずは一度、弁護士にご相談ください。
弁護士法人みらい総合法律事務所は全国対応で、随時、無料相談を行なっています(事案によりますので、お問い合わせください)。
あなたからのご連絡をお待ちしています(秘密厳守)。





























