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相続されるものと相続されないものを早見表で解説

最終更新日 2026年 05月27日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

相続されるものと相続されないものを早見表で解説

この記事を読むとわかること

相続について考えた時、こんな疑問を感じたことはないでしょうか?

「親の財産のうち、何を相続できるのか?」
「相続されるものと、されないものの違いは?」
「相続税がかかるかどうか確認したいが……」

相続では、相続されるもの相続されないものがあります。
しかも厄介なのは、法律上は相続財産ではないのに、相続税の対象になるものがあるという点です。

たとえば、預貯金や不動産は典型的な相続財産ですが、年金受給権や生活保護を受ける権利などは原則として相続されない財産です。
また、生命保険金や死亡退職金などは、相続されない財産なのに課税対象とされ相続税がかけられてしまいます。

そこで本記事では、「相続財産」について次の項目を中心に解説していきます。

<本記事の主な内容>

  • 相続される財産/相続されない財産の
    種類
  • 相続税との関係/相続税の対象になる
    ものとは?
  • 相続財産で気をつけるべきポイント
  • よくわかる!相続財産早見表

相続手続きの中には、「相続放棄や限定承認の決定」や「相続税の申告」、「不動産の相続登記」など期限が決まっているものがあります。

いざ相続が開始されると、これらの期限はあっという間にやってきます。
相続財産の調査や確定が遅れてしまうと相続人は損をしてしまうリスクがあるため、注意しなければいけません。

相続が開始される前からはもちろん、相続が開始したらすぐに本記事を読んでいただき、納得できる相続を実現してください。

相続財産とは?

被相続人(亡くなった方)から相続人に引き継がれる財産・権利・義務などの一切を「相続財産」といいます(民法第896条)。

相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金やローンなどの債務)もすべて含まれるため、その内容や金額の調査・確定はとても重要なプロセスになります。

なお、すべての財産が相続されるわけではありません。
その人自身にしか帰属しない権利(本人一身に専属する権利)は、相続の対象にならないのが原則です。

よくわかる!相続財産早見表

まずは、「相続される財産」と「相続されない財産」の種類や、相続税の対象になるのかについて一覧表で確認します(相続税が課税されるケースであることを前提とします)。

<主な相続される財産/相続されない
財産早見表>

財産項目相続される/
されない
相続税の対象かポイント
預貯金相続されるなる典型的な相続財産
不動産相続されるなる相続登記が必要
株式・投資信託相続されるなる評価額に注意
証券会社で
相続手続が必要
貸付金・未収金相続されるなりやすい請求権も遺産に入る
借金・保証債務相続される控除や放棄の検討が必要マイナス財産も承継
相続放棄も検討
自動車相続されるなりやすい名義変更が必要
年金受給権原則、相続されない通常の相続財産
ではない
未支給年金は別制度
一定の遺族が請求
生活保護受給権相続されない対象外本人固有の権利
墓地・墓石通常の遺産分割対象とは異なる原則非課税祭祀・礼拝用なら
非課税
仏壇・仏具通常の遺産分割対象とは異なる原則非課税骨とう品は例外あり
死亡保険金通常の遺産と
同じとは限らない
対象になることが
ある
みなし相続財産
非課税枠あり
死亡退職金通常の遺産と
同じとは限らない
対象になることが
ある
みなし相続財産
非課税枠あり

※横にスクロールできます

財産項目相続される/
されない
相続税の対象かポイント
預貯金相続されるなる典型的な相続財産
不動産相続されるなる相続登記が必要
株式・投資信託相続されるなる評価額に注意
証券会社で
相続手続が必要
貸付金・未収金相続されるなりやすい請求権も遺産に入る
借金・保証債務相続される控除や放棄の検討が
必要
マイナス財産も承継
相続放棄も検討
自動車相続されるなりやすい名義変更が必要
年金受給権原則、相続されない通常の相続財産
ではない
未支給年金は別制度
一定の遺族が請求
生活保護受給権相続されない対象外本人固有の権利
墓地・墓石通常の遺産分割対象とは異なる原則非課税祭祀・礼拝用なら
非課税
仏壇・仏具通常の遺産分割対象とは異なる原則非課税骨とう品は例外あり
死亡保険金通常の遺産と
同じとは限らない
対象になることが
ある
みなし相続財産
非課税枠あり
死亡退職金通常の遺産と
同じとは限らない
対象になることが
ある
みなし相続財産
非課税枠あり

相続される財産の種類を確認

次に、以下の一般的に相続財産になるものについて詳しく見ていきます。

一つずつ詳しく解説します。

預貯金

亡くなった時点で本人名義だった口座残高は、基本的に相続財産になります。

  • 普通預金
  • 定期預金
  • 積立預金
  • 貯蓄預金 など
<注意ポイント>
なお、預貯金は相続開始後すぐに自由に引き出せるとは限りません。
原則として、遺言書または遺産分割協議書に基づいて相続人全員で相続手続きを行ない、金融機関で払い戻しや解約の手続きをすることが必要になります。

【解説動画】相続の遺産分割を弁護士が簡単に説明します

不動産

土地や建物、マンション、アパート、農地などの不動産も代表的な相続財産です。

相続人のうちで誰が取得するかは、遺言書がある場合はその内容にしたがいますが、遺言書がない場合は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めるのが基本です。

<注意ポイント>
不動産を相続した場合は、相続登記が必要になります。
2024年4月から不動産の相続登記は義務化しており、期限は3年以内となっているため、後回しにしないことが重要です。

有価証券
(株式・投資信託・国債など)

証券会社の口座にある、株式・投資信託・国債など有価証券も相続の対象になる財産です。

  • 上場株式
  • 国債
  • 社債
  • 投資信託/上場投資信託(ETF) など

預金と同じように、株式も相続人が自由に処分できるものではなく、証券会社での手続きが必要になります。

<注意ポイント>
有価証券は価格変動があるため、相続税評価や遺産分割では相続人の間で、もめやすい財産であることに注意が必要です。

自動車・貴金属・家財の一部

日常で使用している家財道具や衣類などは、実務上あまり細かく問題になりませんが、高価なものはきちんと整理して財産目録等を作成しておく必要があります。

  • 自家用車
  • バイク
  • 宝石
  • 貴金属
  • 高額な美術品 など
<注意ポイント>
たとえば、父親が所有していた高級腕時計や家具、骨董品なども相続財産として遺産分割の対象になるので、きちんと財産整理をしておくべきです。

貸付金・未収金・売掛金

相続される財産には「お金を請求する権利」も含まれます。

  • 知人に貸したお金
  • 未払いの家賃
  • 売掛金
  • 立替金
  • 未収の報酬 など
<注意ポイント>
たとえば、亡くなった父親が知人にお金を貸していた場合、その返還請求権は相続人に引き継がれます。
現金や不動産などのように手元にないものですが、請求権も相続財産になることを覚えておいてください。

借金・ローン・連帯保証債務

相続人にとって、もっとも注意が必要なのはマイナスの財産も相続されることです。

  • 住宅ローン
  • カードローン
  • 消費者金融からの借入れ
  • 未払金
  • 連帯保証債務 など

これらの債務なども原則として相続の対象になります。

<注意ポイント>
借金が多く、マイナス分がプラス分を上回ってしまう場合は「相続放棄」を検討する必要があります。
プラスの財産だけ相続して、借金だけ放棄することはできないからです。

相続されない財産とは?

続いて、以下の主な相続の対象にならない財産について見ていきます。

一つずつ詳しく解説します。

年金受給権

年金を受け取る権利そのものは本人に専属する性質が強いため、通常の意味での相続財産にはなりません。

<注意ポイント>
たとえば、亡くなった父親が受給していた老齢年金は、子どもがそのまま相続することはできません。
ただし、まだ受け取っていなかった年金については「未支給年金」として、一定の遺族が請求できる場合があります。

生活保護を受ける権利

生活保護を受ける権利は、その人の生活状況や困窮状態に基づくものであるため、他の人に引き継がれません。

<注意ポイント>
年金受給権と同様、このように特定の人に専属する権利を「一身専属の権利」といい、相続や譲渡の対象にならず、差し押さえもされません。
原則「その人自身だから認められていた権利」は相続しない、と理解するといいでしょう。

なお、一身専属の権利には次のものなどがあり、これらも相続されません。

  • 扶養請求権の一部
  • 生活保護受給権
  • 年金受給権の一部性質
  • 特定の身分関係に基づく権利 など

祭祀財産(墓地・墓石・仏壇・
仏具など)

墓地、墓石、仏壇、仏具などは通常の相続財産とは少し違い、祭祀財産としてあつかわれます。
相続の対象にはならず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継することになります。

<注意ポイント>
仏壇や墓石は、「長男が何割、次男が何割」と通常の預金のように分割するのは一般的ではありません。

なお、相続税の面でも一般的な礼拝用の祭祀財産は原則非課税とされることが多いです。
ただし、国税庁は「骨とう的価値があるものや商品として所有しているものは相続税がかかる」としています。
また、見た目が仏具でも、資産性が高ければ例外になることがあります。

香典・葬儀費用

香典は「喪主に対する贈与」として、相続財産ではないとされています。
葬儀費用は「喪主が負担すべきであり、喪主は葬儀費用を支出したとしても、相続財産に対して請求することはできない」とされています。

<注意ポイント>
税法上では、課税価格の計算上、取得財産からの控除が認められています(相続税法第13条1項2号)。
控除が認められる葬儀費用は、「葬式およびその前後に生じた出費で、通常葬式にともなうもの」と認められるものです(相続税基本通達13-4、13-5参照)。

相続されないのに相続税の
対象になる財産に注意

法律上の相続財産ではないものの、相続税が関わってくるものがあるので注意する必要があります。

一つずつ詳しく解説します。

生命保険金

被相続人を被保険者とする死亡保険金は、受取人の指定の仕方によって相続財産になるかどうかが異なってきます。

被相続人自らを死亡保険金の
受取人に指定した場合

この場合は相続財産となるため、相続人に相続されます。

特定の相続人を受取人に
指定した場合

この場合、死亡保険金は保険金受取人が自らの固有の権利として取得するものであり、被相続人から承継取得したものではないとされます。
そのため、相続財産にならないとされています(最高裁昭和40年2月2日判決 民集19巻1号1頁)。

<注意ポイント>
相続税の計算では、「みなし相続財産」として課税対象になることがあります。

みなし相続財産とは、
法律上は相続や遺贈で取得したものではないが、
被相続人の死亡により取得したため、
相続税法上は「相続により取得した財産」とみなされ、
相続税の課税対象となるものです。

ただし、生命保険金には一定の非課税枠があり、
「500万円 × 法定相続人の数」までの金額が非課税となります

詳しい内容については、弁護士や税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。

<コラム:みなし財産になるものとは?>
次にあげるものは、みなし財産になります。

  • 生命保険金(一定の場合)
  • 被相続人の死亡前3年間で贈与された
    財産
  • 死亡退職金(一定額を超えるもの)
  • 弔慰金(一定額を超えるもの)
  • 定期金(一定の場合)
  • 特別縁故者への分与財産 など

死亡退職金・遺族給付金

死亡退職金や遺族給付金は生命保険金と同じようにあつかわれる部分があります。
亡くなった会社員に対して、勤務先から遺族に死亡退職金が支払われた場合は相続税の対象になることがありますが、死亡保険金と同様の非課税枠があります。

<注意ポイント>
たとえば、次のようなケースでは相続税の課税対象となります(相続税法第3条1項2号)。

被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これに準ずる給与(被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの)の支給を相続人や、その他の者が受けた場合。
税法上、退職金などは相続または遺贈によって取得したものとみなされるため相続税が発生します

「相続されるか」と「相続税がかかるか」は別問題です。
相続の実務で大切なのは、「法律上の相続財産かどうか」と「相続税の課税対象かどうか」を分けて考えることです。

相続財産で注意するべき
ポイントまとめ

プラスの財産だけを見ない

相続を考える際、どうしても預貯金や不動産に目がいきがちですが、借金や保証債務も相続されるため、早めにマイナスの財産についても確認・整理するべきです。

法律上の相続対象と税務上の
課税対象を混同しない

前述したように、預貯金や不動産は、法律上も税務上も基本的に相続財産です。
一方、生命保険金や死亡退職金は、税務上は相続税の対象になり得ても、遺産分割の場面では預貯金と同じ感覚であつかえないことがあります。
また、未支給年金は相続財産として分けるというより、一定の遺族が請求する制度です。

これらの違いを理解しておくことが大切です。

相続放棄の期限(3か月)に
要注意

相続放棄の申請は相続開始後、家庭裁判所に対して行ないます。
借金などマイナスの財産が多い場合は相続放棄を検討しますが、申請期限があることに注意します。

<相続放棄の期限>
相続の開始を知った時(通常は被相続人が亡くなった日)から3か月以内

不動産は名義変更(相続登記)
まで済ませる

不動産の相続は、話し合い(遺産分割協議)で誰が取得するか決めただけでは終わりません。
相続人が引き継ぐためには名義変更(相続登記)を行ない、所有者を変更する手続きが必要になります。

相続登記の期限は、相続の開始を知った時(被相続人が亡くなった日)から3年以内となっています。
これを過ぎると、10万円の過料となる可能性があるので注意が必要です。

不動産の相続登記をそのままにして放置しておくと、次の世代、さらにそのまた次の世代での相続が起きた時に権利関係が複雑になり、トラブルが大きくなりやすいので気をつけるべきです。

相続で困った時は
弁護士にご相談ください!

相続で迷いやすいのは、「相続されるもの」と「相続税の対象になるもの」が必ずしも一致しないことです。

預貯金や不動産、株式、貸付金、借金は相続財産の中心ですが、年金受給権や生活保護を受ける権利のように相続されないものもあります。
さらに、生命保険金や死亡退職金は、遺産分割の感覚だけでは処理できず、税務上の確認が必要です。

まずは、次の3点を分けて整理することが、相続で失敗しないための第一歩です。

  • 何が遺産になるのか
  • 何が税務上の対象になるのか
  • 3か月、10か月、3年の期限があるものは何か

相続放棄は3か月、相続登記は3年以内、相続税の税務は10か月が手続き期限の基本です。
疑問や不安が出てきたら、早めに相続に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人みらい総合法律事務所は全国対応で、随時、無料相談を行なっています(事案によりますので、お問い合わせください)。
もちろん、秘密厳守ですから安心してご相談ください。

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