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相続欠格と相続廃除についてわかりやすく解説

最終更新日 2026年 03月25日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

相続欠格と相続廃除についてわかりやすく解説

この記事を読むとわかること

法律上では相続人に該当する場合でも、相続権を失うことがあります。

その代表的な制度が、「相続欠格」と「相続廃除」です。

どちらも相続人の資格に関わる重要な制度ですが、適用される場面や手続きの方法などに違いがあります。

この記事では、相続欠格と相続廃除の概要や具体的なケース、それぞれの違いなどを分かりやすく解説します。

相続における相続欠格と
相続廃除について

法律上の相続人の立場にある場合でも、一定の事情があれば相続権を失うことがあります。

この相続権を失うことが関係している制度が、「相続欠格」と「相続廃除」です。

いずれも相続人の資格に関わる制度であるという共通点はあるものの、相続権が失われる理由や手続きの方法は異なります。

相続欠格は法律に定められた事由に該当することで、相続権を失う制度です。

一方、相続廃除は被相続人の意思に基づき、家庭裁判所の手続きを通じて相続人の資格を失わせる制度になります。

同じ相続権が失われる制度でも考え方や手続きなど異なる点は多いため、それぞれの制度について知っておくことが大切です。

相続欠格とは

相続欠格とは、相続人が重大な不正行為を行った場合に相続人としての資格を失う制度です。

相続欠格の概要や、相続欠格に該当するケース、相続欠格の手続きに関してなどについて詳しくみていきましょう。

相続欠格の概要

相続欠格とは、相続人が一定の重大な不正行為を行った場合に、法律の規定によって相続人としての資格が剥奪される制度です。

相続は本来、法律で定められた相続人に認められる権利です。

しかし、相続に関する秩序を著しく乱す行為があれば、その権利を認めることは適切とはいえません。

そこで民法では、特定の行為を「欠格事由」として定め、欠格事由に該当する場合は相続人の資格を失うものとしています。

相続欠格に該当すれば、家庭裁判所の手続きを経ることなく、相続権を失うという特徴があります。

相続欠格に該当するケース

相続欠格が認められるのは、相続に関して特に重大な不正行為を行った場合です。

欠格事由に該当する主な行為は、以下の通りです。

一つずつ詳しく解説します。

被相続人や他の相続人を
故意に死亡させた場合

相続人が、被相続人や他の相続人を故意に死亡させた場合、相続欠格に該当します。

犯罪行為は相続権の剥奪に直接繋がるため、家庭裁判所の手続きを経ることなく、相続人の資格が失われます。

そもそも相続欠格の制度の目的は、被害者や遺族の権利を守り、相続の秩序を保つことです。

そのため、故意による死亡行為は極めて重大な不正行為とみなされ、相続の権利が剥奪されます。

殺人未遂で刑事処分を
受けた場合

相続人が被相続人や他の相続人を殺害しようとして刑に処せられた場合も、相続欠格に該当します。

未遂であったとしても、殺人と同様に犯罪です。

法律では相続に関わる秩序を守るため、重大な犯罪行為を行った者には相続権を認めません。

刑事処分を受けたこと自体が欠格事由となり、相続人としての資格は剥奪されます。

遺言を詐欺・強迫で
作成させた場合

相続人が被相続人に対して詐欺や強迫を行い、遺言を作成させた場合も相続欠格に該当します。

なぜならば、こうした行為は遺言による財産分配の自由を侵害する重大な行為とみなされるからです。

相続欠格の制度は、被相続人の意思を守る目的も持ち合わせています。

そのため、詐欺や脅迫で遺言を作成させる行為は、被相続人の意思を侵害する行為として相続権を剥奪されます。

遺言書の偽造・変造・破棄・
隠匿があった場合

相続人が遺言書を偽造、変造、破棄、または隠匿した場合も、欠格事由に該当します。

遺言書は、被相続人の意思を示す重要な文書です。

そのため、このような不正な行為は相続秩序を著しく乱すものとして、相続権が剥奪されます。

この規定は、被相続人の意思や他の相続人の権利を守るために設けられています。

相続欠格の手続き

相続欠格の場合、特別な手続きを行う必要はありません。

欠格事由に該当することが明らかであれば、法律上相続人としての資格を失います。

そのため、家庭裁判所への申し立てなどの手続きを行わなくても、相続権を失うことになります。

相続欠格の制度は、相続人の不正行為によって相続秩序が乱れることを防ぎ、被相続人の意思や正当な相続人の権利を保護することを目的としています。

このような趣旨から、欠格事由が認められれば当然に適用される仕組みとなっています。

相続欠格になった場合の影響

相続欠格に該当すると、その相続人は相続権を失います。

その場合、欠格者の子供など次の相続順位にある者が代わりに相続する「代襲相続」が発生することがあります。

例えば、相続欠格となった人に子供がいる場合、その子供が代襲相続人として相続することになります。

ただし、代襲相続が認められる範囲は民法で定められており、誰でも代わりに相続できるわけではありません。

相続廃除とは

相続廃除は、被相続人の意思に基づいて相続権を失わせる制度です。

相続廃除の概要や相続廃除が認められるケース、相続廃除の手続きなどを詳しく解説します。

相続廃除の概要

相続廃除は、被相続人の意思に基づき、特定の相続人から相続権を失わせる制度です。

相続欠格のように本人の行為だけで資格を失うわけではなく、家庭裁判所の手続きを通して相続権を失うことになります。

家庭裁判所は、相続人の行為内容や被相続人との関係を慎重に判断し、正当な理由がある場合にのみ廃除を認めます。

相続廃除を行うことで、被相続人の意思を尊重しつつ、相続の秩序や他の相続人の権利を守ることが可能です。

この制度は、単に権利を剥奪するものではなく、相続に関するトラブルを未然に防ぎ、正当な相続関係を維持するための仕組みとして位置付けられています。

相続廃除が認められるケース

相続廃除は、家庭裁判所の手続きをすればどんな場合も認められるというわけではありません。

相続人の行為が、被相続人や他の相続人に著しい不利益を与える場合にのみ認められます。

相続廃除が認められる具体的なケースは、以下の通りです。

一つずつ詳しく解説します。

被相続人に対する虐待

相続人が被相続人に対して身体的・精神的な虐待を行った場合、相続廃除が認められることがあります。

虐待は、日常生活や財産管理に支障を与える行為も含まれます。

ただし、単なる口論や一時的な暴力だけでは虐待と判断されません。

家庭裁判所は、虐待の程度や頻度、被害の影響を総合的に判断し、相続廃除の必要性を判断します。

そして、重大な虐待が認められる場合には、被相続人の権利や尊厳を守るために法律上の相続人資格を剥奪します。

重大な侮辱

相続人が被相続人に対して著しい侮辱を行った場合も、相続廃除の対象になります。

ここでいう侮辱とは、口論や軽い非難ではなく、被相続人の人格や尊厳を深く傷つける行為を指します。

家庭裁判所は行為の内容や状況を慎重に判断し、相続廃除が必要と認められる場合に限って効力を認めます。

著しい非行

相続人が著しい非行を行った場合も、相続廃除が認められる場合があります。

非行とは、社会的に非難される行為や犯罪行為、家庭内での不適切な行動など、相続秩序や被相続人の意思に悪影響を及ぼす行為を指します。

家庭裁判所は行為の内容や影響を総合的に評価し、廃除の必要性を判断します。

相続廃除の手続き

相続廃除を行うには、家庭裁判所への申し立てが必要です。

被相続人自身が申立てる場合と、遺言によって廃除が指定される場合があります。

申立てには事実関係の証拠や書類が必要であり、円滑な手続きには弁護士のサポートが有効です。

家庭裁判所は、相続人の行為や状況を慎重に判断します。

廃除の効力は申立てが認められて確定した時点で生じるため、申立て時に相続権を失うことはありません。

遺言による相続廃除

遺言による相続廃除は、被相続人が生前に遺言で特定の相続人の相続権を剥奪する意思を示す方法です。

廃除の効力を発生させるには、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の申立てを行い、審判によって認められる必要があります。

審判では、遺言の内容や理由の正当性が審査されます。

遺言による廃除は、相続人間の争いを未然に防ぐ手段として利用されることも少なくありません。

相続欠格と相続廃除の違い

相続欠格と相続廃除はどちらも相続の資格に関わる制度ですが、成立の条件や手続き方法、本人の意思の関係などに違いがあります。

下記の表で相続欠格と相続廃除の違いを確認しながら、具体的な違いについて見ていきましょう。

項目相続欠格相続廃除
成立条件法律で
定められた
欠格事由に
該当する
行為があった
場合
被相続人の
意思に
基づき、
特定の事情が
ある場合
手続き不要家庭裁判所
への申し立て
本人の
意思
不要被相続人の
意思が必要
代襲相続原則として
適用される
原則として
適用される

成立条件

相続欠格は、法律で定められた欠格事由に該当する場合に成立します。

例えば、被相続人や他の相続人への故意の殺害、遺言書の偽造・破棄などが該当します。

一方で、相続廃除は被相続人の意思に基づいて、特定の事情がある相続人に対して適用されます。

具体的には、虐待や重大な侮辱、著しい非行などが理由となり、家庭裁判所の判断を経て効力が生じます。

つまり、欠格は法律の規定によって自動的に成立するのに対し、廃除は被相続人の意思と手続きの両方が必要です。

手続き

相続欠格は、欠格事由に該当すれば家庭裁判所の手続きなどは不要です。

該当する場合、自動的に相続権が失われます。

これに対し、相続廃除は効力を発生させるためには、家庭裁判所への申し立てが必要です。

家庭裁判所は相続人の行為や状況を審査し、廃除の必要性を判断します。

そのため、廃除は欠格と違って即時的な効力がなく、手続きを経て初めて相続権が剥奪される点が大きな違いです。

本人の意思

相続欠格は、相続人本人の意思にかかわらず成立します。

欠格事由に該当した時点で自動的に資格を失うため、本人の同意や承認は不要です。

一方で、相続廃除は被相続人の意思が影響します。

被相続人が特定の相続人を相続権から外したいという意思を明確に持ち、家庭裁判所で認められた場合にのみ効力が生じます。

相続欠格・相続廃除で問題になるケース

相続欠格や相続廃除は、いずれも家庭内や相続人間でのトラブルに発展しやすい制度です。

トラブルにより、相続手続きが複雑化するケースも少なくありません。

ここでは、実際に問題が起こりやすい代表的なケースをご紹介します。

一つずつ詳しく解説します。

相続人同士のトラブル

相続欠格や相続廃除の適用を巡り、家族など相続人同士でトラブルが発生することがあります。

とくに親子や兄弟間で相続権をめぐる感情的な争いが生じやすく、法的手続きを必要とするケースも少なくありません。

欠格や廃除の理由や証拠が不明確な場合、相続人同士で意見が対立し、調停や訴訟に発展することもあります。

こうした争いは、相続手続きの遅延や精神的負担を大きくするため、早期に弁護士へ相談して解決を目指すことが推奨されます。

遺言書トラブル

相続欠格や相続廃除が関わるケースでは、遺言書をめぐるトラブルが発生しやすくなります。

例えば、遺言書の内容が不明確だったり、特定の相続人を廃除する意思が明示されていなかったり、遺言書の正確性が不十分な場合、相続人同士で解釈の違いや争いが生じることがあります。

また、遺言書の偽造や破棄、隠匿といった不正行為が疑われる場合は、家庭裁判所での審理が必要です。

家庭裁判所が介入すると、相続手続きが長期化することもあります。

こうした遺言書トラブルを防ぐためには、正確で明確な遺言書作成と弁護士の確認が重要です。

相続人の不正行為

相続人による不正行為は、相続欠格や相続廃除の適用されるきっかけになります。

具体的には、財産の隠匿や不正な取得、遺言書の改ざん、被相続人への暴力や脅迫などが該当します。

こうした行為があった場合、他の相続人の権利が侵害され、家庭裁判所での確認や調停が必要になることもあります。

不正行為を防ぐためには、事前の財産管理や遺言書の適切な作成、専門家による監督が重要です。

早めに対応することで、相続手続きを円滑に進めることができます。

弁護士に相談すべき理由

相続欠格や相続廃除は、法律上の適用条件や手続きが複雑です。

そのため、判断を誤れば、相続権の争いの悪化や長期化を招く可能性があります。

相続欠格や相続廃除など相続に関するトラブルは、専門家である弁護士に相談することも有効な選択肢です。

手続きや判断の複雑さ

相続欠格や相続廃除の適用には、法律で定められた要件を正確に確認し、家庭裁判所への手続きを適切に行う必要があります。

書類の不備や漏れ、要件の判断ミスがあれば、手続きが長期化して相続人間の争いが拡大するかもしれません。

弁護士に相談することで、法律上必要な手順を正確に把握できます。

また、申立てや書類作成のミスを防ぎ、円滑な相続手続きを進めることが可能です。

遺産分割や家族間トラブルの防止

相続欠格や相続廃除が関わる相続では、家族間の感情的な争いや誤解が原因でトラブルに発展しやすくなります。

弁護士に相談すれば、遺産分割の方法や相続人間の調整について適切なアドバイスを受けられます。

また、弁護士に代理人として話し合いや手続きを任せることも可能です。

事前に法的な根拠や手続きを確認することで、争いを未然に防ぐことにもつながります。

証拠や書類の準備サポート

相続廃除の申立てには、家庭裁判所に提出する証拠や書類の準備が必要です。

相続廃除に該当する行為を示す証拠や、遺言書の正当性を裏付ける資料などを事前に整理する必要があります。

弁護士は、証拠の有効性を判断して整理し、裁判所へ適切に内容を伝えることができます。

まとめ

相続欠格や相続廃除は、適用条件や手続き、代襲相続の扱いなど複雑な制度です。

判断を誤ると相続権の争いが長引くこともあるため、制度について正しく理解することが大切です。

家族間のトラブルや遺言書をめぐる問題も起こりやすいため、手続きや判断に不安がある場合は、早めに弁護士に相談することを推奨します。

弁護士に相談すれば、適切なアドバイスを受けながら、スムーズに手続きを進めることが可能です。

弁護士法人みらい総合法律事務所は全国対応で、随時、無料相談を行なっています(事案によりますので、お問い合わせください)。

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