交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

損害賠償額について(高次脳機能障害7級の場合)

2014年07月24日

娘の交通事故に関する相談です。

大学生の娘(事故当時18歳)がバイクでトラックと接触し、頭部を打ち、脳挫傷、頭蓋骨骨折の怪我を負いまいた。

その後、入院約3ヵ月、実通院日数約50日間、治療期間約1000日の治療を行い、症状固定となり、高次脳機能障害の診断をもらって、後遺障害は7級となりました。

保険会社からの提示によると、過失割合は30:70で、通院慰謝料が約150万円、後遺障害慰謝料が500万円、逸失利益が約2000万円とされています。

正直なところ、過失割合にも納得していませんし、慰謝料については、約3年間にも及ぶ治療や、後遺障害の程度に比して少ないのではないかと感じています。

専門家である弁護士の目から見て、この金額は妥当な金額であるのか、アドバイスいただけますようお願いいたします。

弁護士からの回答

交通事故の損害賠償として相手方から支払われるべき金額は、治療費、休業損害、傷害慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料等の各損害項目の合計(被害者の方に発生した損害合計)に相手の過失割合をかけ(全体の損害のうち相手が負担すべき部分を算出します)、最後にこれまでの既払い金(その他自賠責保険金、労災保険金も)を差し引いて算出します。

このうち、過失割合が妥当かどうかについては、より詳細な事故状況を知る必要があり、またこれまでの既払い金などもこのご相談の時点では不明ですから、ここでは、各損害項目についてお答えします。

本件では、事故当時大学生ということですので、問題となる損害は、主に治療費、入院雑費、通院交通費、傷害慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料になると思われます(もちろん場合によりこれだけに限られません)。

このうち、治療費は保険会社から支払われていることが多いですが、本件では不明であることから省略します。

入院雑費は、裁判所の基準では、原則として1日あたり1500円として計算します。

そのため、入院期間が90日でしたら、入院雑費として13万5000円が認められることになります。

次に通院交通費は、原則として実際にかかった実費が認められることになりますが、本件では実額不明であることから省略します。

次に傷害慰謝料ですが、これは入院期間、通院期間がそれぞれ何ヶ月間だったかという相関で基準が定められています。

もっとも、通院期間が長期にわたり、かつ不規則だったような場合は、トータルの通院期間ではなく、通院実日数の3.5倍を基準に当てはめる通院期間とするとされています。

本件では、通院期間は30ヶ月ほどであるのに対し、実通院日数は約50日ということですから、この後者の基準で判断される可能性があります。

そのため、傷害慰謝料の算定にあたっては、入院期間3ヶ月間、通院期間約6ヶ月(50日×3.5=175日)として、211万円が認められると思われます。

次に後遺障害慰謝料は等級ごとの基準が定められており、7級が認定されている場合は1000万円が認められます。

最後に逸失利益は、後遺障害のために、将来的に得られることができなくなった収入に関する損害ですが、将来の予測であるため、一定の計算式で算出することとされています。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間

基礎収入は、働いている方であれば事故前年度の収入が当てはまりますが、今回のようにお若い方が被害者の場合は、学歴ごとの全年齢平均の賃金を当てはめることになります。

従って本件では大卒女性の全年齢平均賃金である443万4600円となります(平成24年賃金センサス)。

労働能力喪失率は、認定された等級ごとに目安が定められており、7級の場合は56%となります(実際の症状によって前後することはあります)。

労働能力喪失期間は、原則として症状固定時の年齢から67歳までの期間を指しますが、本件では大学生であることから、症状固定時に21歳だとすると、67歳までの46年から、症状固定時から就労を始める23歳までの2年間分を控除した44年間分とすることになります。

なお、労働能力喪失期間については、年数をそのままかけるのではなく、中間利息を控除したライプニッツ係数というものをかけることになります。

以上をまとめると逸失利益は、
443万4600円×0.56×15.8034=3924万5784円
となります。

よって以上のとおり、慰謝料、逸失利益ともに、かなり低い到底妥当とはいえない金額であると思われます。

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