交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

交通事故にあったときの対応|被害者がまずやるべきこと・やってはいけないこと

2022年11月25日

Q)交通事故にあったとき、被害者は、まず何をすればいいでしょうか? また、やってはいけないことはありますか?

弁護士からの回答

A)交通事故の被害者の方が、まず行なうべきこと、やってはいけないことは、様々あります。
交通事故の発生からの流れを追いながら、お話ししていきます。

動画でも解説しています

 

 

交通事故発生からの流れと手続きのフローチャート

まずは交通事故の全体像を知るために、交通事故発生から示談解決までの流れと手続きについて、フローチャートにまとめてみました。

事故発生から治療の開始、症状固定、自賠責後遺障害等級の認定、弁護士への相談、保険会社との示談交渉など、解決までの流れを見ると途方もないような気持になる方もいると思いますが、何事も最初の対応が肝心です。
 
そこで次に、ケガした場合を例として交通事故の被害者の方がまずやるべきことを解説していきます。

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交通事故の被害者が最初にやるべき7つの鉄則

交通事故の被害者が最初にやるべき7つの鉄則
突然の事故では、被害者の方は気が動転してしまい冷静な判断をするのは難しいものです。
 
しかし、交通事故も最初が肝心です。
 
なぜなら、交通事故後の対応ミスはご本人やご家族、弁護士がいくら奮闘しても、あとで取り返すことができないからです。
 
正しい知識を知っていれば、事故後はスムーズに間違いのない対応ができるはずです。
被害者の方が不利にならないために、最初にやるべき行動は7つあります。
 
ご自身のケガの状況を確認し、道路上での安全を確保したら、以下のことをしてください。
 

対応の鉄則①:加害者の確認

☑まずは、加害者の「住所」、「氏名」、「連絡先」を確認しましょう。
 
嘘を言っている可能性もあるので免許証を提示してもらい、しっかり確認し、メモをとります。
 

☑加害者が名刺を持っていれば、もらっておいたほうがいいでしょう。
 
名刺を持っていない場合でも、勤務先の会社名や連絡先、電話番号は確認しておくべきです。
 
従業員が勤務中に自動車事故を起こした場合は、雇用主も損害賠償責任を負う場合があるからです。

車検証に記載してある加害車両のナンバーの確認、および加害車両の保有者保有者も損害賠償責任を負うからです。
 

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対応の鉄則②:警察に連絡

☑交通事故発生後は、必ず警察に通報してください。

☑警察に連絡しないと、事故の手続に必要な「交通事故証明書」が作成されません。
 
交通事故証明書には、その後の交通事故の手続に必要な情報が記載されるため、これがないと交通事故として扱われなくなってしまいます。

☑また、ケガをしたときは、「人身事故」扱いにしてもらうことが必要です。
 
そうでないと、あとで事故状況を検証した「実況見分調書」が取れなくなってしまいます。
実況見分調書は、過失割合の判断などで必要になってきます。

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対応の鉄則③:事故状況と加害者の言い分を確認

☑事故の直後は加害者が過失を認めていたとしても、あとで言い分をひっくり返すことがあります。
 
そのため、現場では「どういう事故だったのか」、「どちらが悪かったのか」、「何が原因だったのか」ということを確認しておきます。
 
☑携帯電話やスマートフォンの録音機能を使うと便利です。
☑あとで、警察が来てから行われる「実況見分」(現場検証)では、事故状況を話してください。
 
☑現場検証の結果や被害者の方や加害者からの聞き取り結果をまとめて、警察が「実況見分調書」や「供述調書」を作成します。
 
これらは、刑事事件でも民事裁判でも重要な証拠になります。

事故が起きた場所の確認も大切です。
 
たとえば、交差点のどの位置での事故だったのかなど、あとで争いになることがあります。
 
自動車が止まっている位置や損傷の程度などの現場の状況を、携帯電話やスマートフォンで撮影しておくと、あとで証拠になります。
 

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対応の鉄則④:目撃者やドライレコーダー映像の確認・確保

目撃者やドライレコーダー映像の確認・確保
☑目撃者がいる場合、「氏名」、「住所」、「連絡先」などを確認して、協力をお願いしておきましょう。
 

☑加害者は、事故直後は責任を認めていても、あとになって異なる主張をしてくることがあります。
 
そうした場合は目撃者の証言が有力な証拠になるので、協力をお願いしておくといいです。
 
☑近年ではドライレコーダーの普及にともない、重要な証拠になることが増えています。
映像を確保しておくことも忘れないでください。
 

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対応の鉄則⑤:加害者が加入している自賠責保険と任意保険の確認

☑「自賠責保険」は、自動車損害賠償保障法に基づいて必ず加入しなければならない強制保険です。
 
これは人身事故による損害の保障を目的としているもので、保障内容は最低限の保障になっています。
 
【参考資料】
自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の 支払基準(国土交通省)
 
☑「任意保険」は、ドライバーが任意で加入する保険です。
 
交通事故で被害を受けた場合、通常、自賠責保険の保障だけでは損害賠償金を全額保証することは難しいため、 これを補うために任意保険に加入することになります。

☑治療費や慰謝料などを含めた損害賠償金は、加害者が加入している保険会社が支払うことになるので、保険会社名や保険の証明書番号などもメモしておきましょう。
 
なお、事故後の対応は加害者本人ではなく、加害者が加入している任意保険会社が行うことが多いです。
 
事故後、加害者には保険会社に連絡をしてもらうようにしてください。

対応の鉄則⑥:ご自身が加入している保険会社に連絡

ご自身が加入している保険会社に連絡
☑被害者ご自身が加入している保険の内容を確認して、保険会社に連絡をしましょう。
事故後の対応、手続について何をどうすればいいのか、わからないことは教えてもらえると思います。
 
☑「人身傷害補償特約」や「弁護士費用特約」、「搭乗者傷害特約」などは交通事故被害を受けたときに使うことができる場合があります。
加害者が保険に入っていない場合などは、自分の保険の「無保険者補償特約」を使うことになります。
 

☑見落としがちですが同居のご家族や、独身の場合は実家の両親の保険内容も確認しましょう。
自分の保険以外にも使用できる特約がある場合があります。
 

動画でも解説しています

 

 

対応の鉄則⑦:必ず病院にいく

☑ケガをした、もしくはそのおそれがある場合は必ず病院に行ってください。
 
☑事故直後は動揺していたり、興奮状態のために体の痛みに気づかないことがあります。
ところが、むち打ちのように数日後に症状が現れるものもあります。
 
すると、事故後すぐに病院に行かなかったばかりに、あとで出た痛みと事故との因果関係が認められず、争いが起こるケースがあります。
 
☑交通事故で不利にならないためには、少しでも体の変調を感じたら必ず病院に行ってください。
 

被害者が「やってはいけない」4つのこと

被害者が「やってはいけない」4つのこと
「交通事故は初めての経験でよくわからない」
「突然の事故で気が動転していた」
「その後の手続きについて簡単に考えてしまっていた…」
 
こうした理由などで、後の損害賠償請求、示談交渉などで被害者の方が不利になってしまうケースがあるので、注意していただきたいポイントについて解説します。
 

①警察に対して適当であいまいな証言をしてはいけない

事故後の警察への状況説明の際、自分の記憶とは違うことを適当に言ってしまうと、取り返しのつかないことになるかもしれません。
 
なぜでしょうか?
 

警察は被害者の証言を誘導する!?

交通事故が発生して警察に連絡すると、現場に警察官がやって来て、交通整理と事故状況の捜査が始まります。
 
前述したように、人身事故の場合、警察は現場状況を確認したら加害者、被害者双方から話を聞いて「実況見分調書」という書類を作成します。
 
実況見分調書は、あとあと、加害者と被害者の過失割合を決めたり、示談や裁判で参考にされる重要な書類です。
 
しかし、警察官は事故現場を目撃したわけではないので、ある程度の予測のもとに質問をしてくることがあります。
 
「ここでは、こういう状況だったのではないですか?」というように、答えを誘導してしまうことがあるのです。
 

要注意!実況見分調書は訂正することができない

このとき、被害者の方が事故直後で動揺していたり、「あとで訂正すればいいか」という軽い気持ちで警察官の誘導にのってしまうと大変です。
 
じつは、実況見分調書は一度作成されるとあとで訂正するのが難しいのです。
 
となると、後々に裁判になった場合、弁護士でも状況を覆すことは難しくなってきます。
このように、自分の間違った証言のために自らを不利な状況に追い詰めてしまうこともあるのです。

警察官から事故の状況について聞かれたときに、自分の記憶と違うことを絶対に認めてはいけません。
 
実況見分では、ちょっとでも違うと思ったら、絶対にゆずらず毅然とした態度で対応し、証言することが大切なのです。

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②通院を途中で止めてはいけない

事故で負ったケガの治療のために通院している方で、こんな経験はありませんか?
 
・少しよくなったからといって、通院を止めてしまった…。
・仕事が忙しいからという理由で通院の間隔を空けてしまった…。

これらはNG行為です。
 
通院を止めてしまったり、間隔を空けてしまうと、あとから体のどこかが痛んだり、体調が悪くなっても交通事故との因果関係を認められないことがよくあります。
 
本当に交通事故が原因なのか、それ以外のことが原因なのか、医学的に証明できなくなってしまうのです。
 
必ず、交通事故の直後には医師の診断を受け、主治医の指示に従って一定期間、通院するようにしてください。
 
なお、通院中に何かしらの変化があったときには、些細なことでも医師に相談して判断をあおいでください。
 
そうした変化がカルテに記載され、後日、客観的な証拠になるからです。
 

③治療費を使いすぎてはいけない

治療費を使いすぎてはいけない
治療費を抑えるために健康保険を使う
交通事故でケガを負った人が、よく勘違いしてしまうことに治療費を自由に使っていいという思い込みがあります。
 
あとから保険会社が損害賠償金を払ってくれるのだから、治療費は全部タダだと思ってしまうのでしょう。
 
たとえば、入院したときに個室を利用する、公共交通機関が使える状態なのにタクシーを利用する、健康保険外の治療をする、などが多いケースです。
 
しかし、損害賠償では、必要かつ相当な金額しか認められないのが基本です。
被害者の方が悪いわけではないのに、かかってしまった過剰診療や高額診療が認められないケースがあるので注意が必要です。
 
また、医療機関から「交通事故では健康保険は使えない」と言われて自由診療を受けてしまうケースがありますが、これは明らかに間違いですから注意してください。
 
医療機関は、自由診療の方が高額な診療報酬を受けることができるため、そのような説明を行っているだけです。
 

ですから、被害者の方が治療費を抑えるためには、自由診療ではなく「健康保険を使うべき」というのは覚えておいてください。
 
というのも、「過失相殺」があとから認められることがあるからです。
 

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ケガの治療で注意したい「過剰診療」のポイント
交通事故の被害者が知っておくべき保険の知識

 

交通事故の損害賠償では過失相殺に注意
過失相殺とは、簡単にいえば、被害者の方にも事故を起こす原因があったと判断され、その過失が認められると損害賠償額から過失分の金額が引かれてしまうことです。
 
損害賠償額が多くなればなるほど、過失分として差し引かれる金額が多くなってしまいます。
 
あとから示談書の項目を見て、びっくりすることのないようにしてください。
 
なお、治療のときに使用した交通費や雑費などの領収書は、すべて残しておくことも忘れないでください。
 
今後の保険会社との示談交渉の際に、口頭やメモで「これだけ費用がかかった」といくら主張しても証拠がなければ認められない可能性もあるからです。
 

【関連記事】
慰謝料等の過失相殺で注意するべきポイント

 

④保険会社とすぐに示談してはいけない
ケガの治療が終了すると、加害者側の保険会社と損害賠償についての示談が始まります。
 
ここで注意しなければいけないのは、保険会社の担当者がよいい人だからといって、賠償金額も高いとは限らない、ということです。
 
相手は保険のプロですから、誠意あふれる対応で、「がんばって当社の最高の金額までもってきました」などと言うことがあります。
 
そこで、「こんなに一生懸命がんばって対応してくれたのだから」とか、「大手の保険会社が提示した金額なのだから間違いはないだろう」と考える方もいるでしょう。
 
しかし、じつは保険会社の支払い基準弁護士基準は別物で、両者の間には大きな差があることが少なくありません。
 

ここで示談してしまって、後日、弁護士に示談書を見せたところ、
「今回のようなケースでは、この賠償金額では明らかに相場より少ない金額です」
などと言われてしまうこともあります。
 
ですから、保険会社の担当者から提示された金額で、すぐに示談してはいけません。
 
示談の前に、まずは弁護士などの専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
 
もちろん、すべてのケースで金額が上がるわけではありませんが、弁護士に依頼すると、先方が提示した金額の2倍、3倍、さらには10倍以上になるということもあるのですから。
 

普段、他人事として見てしまいがちな交通事故ですが、たとえ自分が起こさなくても巻き込まれる可能性がある、ということを意識しておくべきです。
 
そのうえで、交通事故の知識を身につけ、弁護士への相談も検討しながら、万が一に備えることをおすすめします。
 
みらい総合法律事務所は、死亡事故と後遺症に専門特化しています。
 

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