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銀行口座凍結時に預金を引き出す方法(仮払い・家庭裁判所の手続き)

最終更新日 2026年 04月03日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

銀行口座凍結時に預金を引き出す方法(仮払い・家庭裁判所の手続き)

この記事を読むとわかること

銀行口座が凍結されればお金を引き出せなくなり、不安を感じる方も多いはずです。

とくに相続が発生した場合、手続きの進め方によっては葬儀費用や生活費の確保に困ることもあります。

しかし、一定の条件を満たせば、凍結された口座からでも預金を引き出すことは可能です。

この記事では、銀行口座凍結時に現金を引き出すための仮払い制度や家庭裁判所の手続きなど、状況に応じた具体的な方法を解説します。

銀行口座が凍結される主な原因

銀行口座が凍結される原因には、いくつかの代表的なケースがあります。

原因によって必要な手続きや対応方法は大きく異なるため、まずはどの状況に当てはまるのか把握することが重要です。

銀行口座が凍結される原因として、以下のようなことが挙げられます。

一つずつ詳しく解説します。

名義人の死亡(相続)

口座凍結に多い原因のひとつは、名義人の死亡による相続です。

金融機関は死亡の事実を把握すれば、不正な引き出しや相続トラブルを防ぐために口座を凍結します

口座を凍結することで相続人全員の共有財産として扱われ、特定の人が自由に引き出すことができなくなります。

口座の凍結を解除して預金を受け取るには、遺産分割協議や仮払い制度など、正式な手続きを進めなければなりません

不正利用・金融事故

不正利用や金融事故が疑われる場合も、銀行口座は凍結されます

例えば、不審な取引が確認された場合や、第三者による不正アクセスの可能性がある場合などです。

こうしたケースでは、被害の拡大を防ぐことが優先されるため、すぐに口座を利用できなくなります。

凍結を解除するには、本人確認や取引内容の確認など、金融機関の調査に協力する必要があります

差押え(税金・借金)

税金の滞納や借金の未払いがある場合、債権者や税務署などによって口座が差し押さえられ、口座凍結されることがあります

この場合は、口座内の預金が返済に充てられるため、原則として自由に引き出すことはできません。

差押えが行われると金融機関の判断では解除できず、債務の解消や法的手続きが必要になります。

相続とは異なり、手続き次第で自由に引き出せるものではない点を理解しておくことが大切です。

凍結された口座から
お金を引き出す方法

凍結された口座から預金を引き出すには、状況に応じた正式な手続きを選ぶ必要があります。

ただし、お金を引き出す方法は限られており、それぞれスピードや手間、適したケースが異なります。

凍結された口座からお金を引き出すための代表的な方法は、以下の3種類です。

一つずつ詳しく解説します。

仮払い制度

相続が発生したことにより銀行口座が凍結された場合において、急ぎで現金が必要な場合は、仮払い制度の利用が最も早くお金を引き出せるようになる方法です。

2019年の法改正によって創設された制度で、遺産分割が終わっていなくても一定額まで預金を引き出せます。

金融機関の窓口で手続きできるため、家庭裁判所を通す必要がありません

必要書類が揃えば比較的短期間でお金を受け取れるため、葬儀費用や当面の生活費を確保したい場面で利用されるケースが多いです。

遺産分割協議による解約

相続人全員で話し合いがまとまっている場合は、遺産分割協議によって口座を解約し、預金を分ける方法が選ばれます。

遺産分割協議書を作成して金融機関に提出すれば、凍結された口座を正式に解約できます

ただし、相続人全員の合意が必要なため、一人でも反対すれば手続きは進められません

お金を引き出すまでに時間はかかるものの、最終的な分配まで一度に完結できる方法と言えます。

家庭裁判所の手続き

相続人同士で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の手続きを利用することになります

家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立て、合意を目指すことが一般的な流れです。

調停でも解決しない場合は審判に移行し、裁判所が分割内容を決定します。

また、必要に応じて仮払いの申し立ても可能です。

ただし、手続きには一定の時間と手間がかかるため、他の方法が難しい場合の選択肢になるでしょう。

仮払い制度とは?
すぐに預金を引き出せる制度

口座凍結後でも比較的早く預金を引き出したい場合に使われる方法が、仮払い制度です。

相続手続きは通常時間がかかりますが、仮払い制度を利用することで、一定の範囲内で資金を確保できる可能性があります。

仮払い制度の内容や利用方法などを解説します。

制度の概要

仮払い制度は、相続が発生しても口座凍結中の預金の一部を受け取れる制度です。

金融機関が窓口になるため、家庭裁判所を通さずに手続きを進められます。

仮払い制度は、主に生活費や葬儀費用など、緊急に必要な資金を確保するために利用されます

また、制度の適用は条件が限定されており、誰でも自由に使えるわけではありません。

申請の可否や上限額は金融機関ごとに確認する必要があります。

利用条件

仮払い制度を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な条件は以下の通りです。

  • 申請者が故人の相続人である
  • 戸籍謄本や死亡届など必要書類が揃っている
  • 他の相続人の同意が得られている場合、手続きが優先される
  • 法定相続分の範囲内での引き出しである

これらの条件を満たすことで金融機関での審査がスムーズに進み、必要な資金を速やかに受け取ることが可能になります。

条件や書類に不備があれば手続きが遅れるため、注意が必要です。

引き出せる金額

仮払いで引き出せる金額は金融機関ごとに150万円まで、もしくは法定相続分に相当する額の低い方が上限です。

金融機関によって取り扱いは若干異なりますが、生活費や葬儀費用など直近で必要な範囲の資金が対象になることが一般的です。

上限額を超える金額を希望する場合は、家庭裁判所を通した手続きが必要になります。

必要書類

仮払い制度を利用する際は、必要書類を事前に揃えておくことが重要です。
主な必要書類は、以下の通りです。

  • 故人の死亡届または死亡証明書
  • 戸籍謄本(相続関係を確認できるもの)
  • 遺族関係が確認できる書類
    (住民票など)
  • 金融機関所定の申請書
  • 身分証明書(申請者本人のもの)

これらの書類を正確に揃えることで、仮払いの申請がスムーズに進みます。

不備や不足があると手続きが遅れるだけでなく、場合によっては申請が受理されないこともあるため、事前に金融機関で必要書類を確認しておくと安心です。

手続きの流れ

仮払い制度を利用する際の手続きの主な流れは、以下の通りです。

  1. 金融機関に問い合わせ:必要書類や
    申請条件を確認します。
  2. 書類の準備・提出:戸籍謄本や死亡届
    など、必要書類を揃えて提出します。
  3. 審査・承認:金融機関が内容を
    確認し、条件を満たしているか
    審査します。
  4. 振込・受取:承認されれば、
    指定口座に仮払い金が
    振り込まれます。

この順序に沿って手続きが進められ、条件が整っていれば比較的短期間で資金を受け取ることが可能です。

家庭裁判所の手続きで
預金を引き出す方法

銀行口座が凍結されて相続人同士の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所を通した手続きが必要です。

裁判所を利用することで、法的に口座の預金を分配・引き出すことが可能になります。

家庭裁判所による手続きの流れや特徴を順に解説します。

遺産分割調停とは

相続人同士で遺産分割の話し合いがまとまらない場合に利用される方法が、家庭裁判所で行う遺産分割調停です。

調停では裁判官や調停委員が間に入り、相続人間の意見を調整しながら分割方法を決定します。

合意に至れば調停成立となり、その内容に沿って口座の凍結が解除され、預金を引き出せます。

話し合いだけで解決できない場合でも、法的な手続きを通せば公平に分配できるようになります

仮払いの申立てとは

遺産分割調停や審判の結果を待つ間に、生活費や葬儀費用など緊急に資金が必要になる場面もあるでしょう。

そうした場合は、家庭裁判所に仮処分(仮払いの申立て)を行うことが可能です。

仮処分は一時的に一定額の預金を引き出すための手続きで、将来的な遺産分割の結果に影響されません

申立てを行い、裁判所が認めれば短期間で資金を受け取ることができます

手続きが必要なケース

家庭裁判所の手続きは、主に次のケースで必要になると考えられます。

  • 相続人間の意見が合わない場合
  • 遺産分割協議だけでは解決できない場合

とくに高額な預金がある場合や、一部の相続人が手続きに協力しない場合など、話し合いだけでは預金の引き出しが難しいケースで活用されます。

法的手続きを経るため、後からトラブルになるリスクを避けることができる点や、正式に口座凍結を解除できる点がメリットです。

手続きの流れ

家庭裁判所で預金を引き出す際の手続きの主な流れは、以下の通りです。

  1. 調停の申立て:家庭裁判所に
    遺産分割調停を申し立てます。
    申立書と必要書類を提出し、
    調停期日が決まります。
  2. 調停期日での話し合い:裁判官や
    調停委員の立ち会いのもと、
    相続人間で分割方法を話し合います。
    合意に至れば調停成立となります。
  3. 審判への移行(必要時):調停で
    合意できない場合は審判に移行し、
    裁判所が分割内容を決定します。
  4. 仮処分の申立て(申立後):生活費や
    葬儀費用など緊急に資金が必要な
    場合は、調停や審判と並行して
    仮処分を申請できます。

法律に従って手続きを進めることで、正式に口座の凍結を解除し、法的に安全に預金を受け取ることが可能です。

仮払い制度と
家庭裁判所手続きの違い

口座凍結後に預金を引き出す際は、仮払い制度と家庭裁判所の手続きのどちらを選ぶかによって、スピードや手間、利用できる条件が大きく異なります。

仮払い制度と家庭裁判所の手続きには、次のような違いがあります。

仮払い制度家庭裁判所の手続き
手続き方法金融機関で
直接申請
調停・審判を裁判所で申請
預金を
引き出せる
ように
なる
までの期間
数日〜
数週間
数週間〜
数か月
利用条件相続人で
書類が
揃って
いること
相続人間で
合意
できない
場合に利用
上限金額150万円
または
法定相続分
の低い方
裁判所の
決定に従う
緊急性高い低い
(審判までに
時間が
かかる)

手続き方法

仮払い制度は、金融機関で直接申請ができます。

家庭裁判所を通す必要がないため手続きが比較的容易で、必要書類を揃えれば短期間で申請が可能です。

一方で、家庭裁判所の手続きは、調停や審判を通して進める必要があります。

裁判所に申立て書類を提出し、期日に出席して話し合いを行うなど、手続きが複雑で時間もかかる点が大きな違いです。

預金を引き出せるようになる
までの期間

仮払い制度は、書類が整っていれば数日から数週間で資金を受け取れることが多いです。

そのため、緊急の生活費や葬儀費用にも対応できます。

家庭裁判所の手続きは、調停から審判まで含めると数週間から数か月かかる場合があります

相続人の数や合意状況によって期間は変動するため、急ぎで資金が必要な場合は仮払い制度の利用を検討しても良いかもしれません。

利用条件

仮払い制度を利用するには、申請者が故人の相続人であることや、戸籍謄本・死亡届など必要書類が揃っていることが条件となります。

一方、家庭裁判所手続きは、相続人間で話し合いがまとまらないケースや、一部の相続人が手続きに協力しない場合に利用されることが一般的です。

状況に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。

上限金額

仮払い制度で引き出せる金額は、原則として150万円まで、もしくは法定相続分に相当する額の低い方が上限です。

生活費や葬儀費用など、直近で必要な範囲の資金が対象になります。

家庭裁判所手続きの場合は、審判で決定された法定相続分全額まで引き出せるため、仮払いよりも高額の資金を受け取ることが可能です。

凍結口座から
お金を引き出すリスク

口座凍結中に預金を勝手に引き出せば、相続人間でのトラブルや使い込みの疑い、さらには税金の問題など、さまざまなリスクが生じます。

具体的にどのようなリスクがあるのかみていきましょう。

一つずつ詳しく解説します。

相続人間のトラブルに発展する

口座凍結中に預金を勝手に引き出せば、相続人間でトラブルになる可能性があります。

例えば、一部の相続人だけが資金を使用した場合、他の相続人から法的な請求を受けることになるかもしれません。

遺産分割が完了する前に資金を取り扱う際は、必ず全員の同意や適切な手続きを経ることが重要です。

適切な手順を踏むことで、後々の争いを防ぐことができます。

使い込みとみなされる

凍結口座の預金を正当な手続きなく引き出せば、「使い込み」とみなされる可能性があるので注意が必要です。

金融機関や相続人から指摘される前に、仮払い制度や家庭裁判所を通した正式な手続きを利用することが安全です。

ルールを守ることで、法的トラブルを未然に防ぐことができます。

銀行口座凍結時に
弁護士へ依頼するメリット

銀行口座が凍結されると、預金を引き出す手続きや相続人間の調整は複雑になりやすいです。

そのため、口座凍結時に弁護士へ相談するケースも少なくありません。

ここでは、弁護士へ依頼する具体的なメリットを解説します。

一つずつ詳しく解説します。

手続きを代行してもらえる

弁護士に依頼すれば、仮払い制度や家庭裁判所の手続きに必要な書類の準備から提出までを代行してもらえます

手続きの流れや必要書類を一から調べる手間が省けるため、時間と労力の節約につながります。

また、書類の不備や提出ミスによる手続きの遅れを防ぐこともでき、スムーズに預金を引き出すことが可能です。

相続トラブルを回避できる

口座凍結中の資金を扱う際には、相続人間のトラブルが起こりやすくなります。

弁護士が間に入ることで、全員の利害を調整し、争いを未然に防ぐことが可能です。

さらに、法的手続きを踏むことで、後から「使い込み」とみなされるリスクや誤解を避けられます。

迅速な対応が期待できる

弁護士に依頼することで、手続き全体を迅速に進めやすくなります。

とくに仮払い制度を利用する場合や、家庭裁判所での調停・審判を伴う場合でも、専門家に依頼すればスムーズに手続きを進行できます

急ぎで資金が必要な場面や手続きに不慣れな場合でも、弁護士がサポートすることで時間や手間などの労力を大幅に減らせます。

まとめ

銀行口座が凍結されると、預金の引き出しには仮払い制度や家庭裁判所の手続きが必要です。

この場合、手続きや書類の準備、相続人間の調整など複雑さが伴います。

急ぎの資金が必要な場合や相続人間でトラブルが起きそうな場合は、専門家のサポートが非常に有効です。

弁護士に相談することで、手続きをスムーズに進め、法的リスクを回避しながら安心して資金を確保できます。

まずは、弁護士に状況を説明して手続きを検討しましょう。

弁護士法人みらい総合法律事務所は全国対応で、随時、無料相談を行なっています(事案によりますので、お問い合わせください)。

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