交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

高次脳機能障害の示談の進め方

2014年04月10日

弁護士の先生にご相談したく、メールをお送りします。

23歳の息子がオートバイを運転中、トラックの巻き込みにあって交通事故被害を受けました。過失割合は7対3で、息子は3のほうです。

お医者様のお話では、脳のびまん性軸索損傷ということで、今後、高次脳機能障害などの症状が出るかもしれないと言われ不安です。意識は戻っているのですが、見当識障害があり名前を呼んでも反応が鈍いのです。これからの損賠賠償請求では、どのように進めていけばよいでしょうか?

弁護士からの回答

まず、高次脳機能障害などの症状が出るかもしれないとのことですが、高次脳機能障害の典型的な症状といたしましては、多彩な認知障害、行動障害及び人格変化等があります。

このうち、認知障害とは、記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害などをいい、行動障害とは、周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、複数のことを同時に処理できない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して回避的行動をすることができないなどをいい、人格変化とは、受賞前には見られなかったような、自発性低下、衝動性、易怒性、幼稚性、自己中心性、病的嫉妬・ねたみ、強いこだわりなどをいいます。

したがいまして、これらの高次脳機能障害の典型的な症状が表れていないかを確認する必要があります。

その上で、今後の進め方ですが、まずは医師と十分に話し合いを行い、主治医の先生が治療の終了(症状固定)と判断するまで治療を継続してください。

そして、治療の終了(症状固定)と主治医の先生が判断したら、後遺障害等級の認定手続に移ることになります。

高次脳機能障害発症の有無の判断については、①事故後の意識障害の有無とその程度・長さ、②画像資料上で外傷後ほぼ3か月以内に完成するびまん性脳室拡大・脳萎縮所見、③交通事故等によって負った障害との因果関係の有無がポイントになります。

そのため、等級認定手続きの申請の際には、上記①~③の根拠となる資料として、後遺障害診断書のほかに、「頭部外傷後の意識障害についての所見」と題する書類、頭部の画像検査資料(MRI等)を提出する必要があります。

また、高次脳機能障害の症状の的確な把握のため、医師が記載する「精神症状についての具体的所見」やご家族が記載する「日常生活状況報告書」も提出する必要があります。

なお、「日常生活状況報告書」は、定型の質問事項(例:言いたい内容を相手に伝えることができるか等)があらかじめ用意されており、それに答えていくというものですが、もし、定型の質問事項にのっていないような症状がでているのであれば、別紙にご子息の症状を詳細に記載して添付するという方法をとることもできます。

なお、上記資料は保険会社に問い合わせれば取得することができます。

等級が認定されましたら、賠償額の算定が可能になり、加害者又は加害者の加入する任意保険会社と賠償金の額について交渉をすることになりますが、損害項目は多岐にわたり、これら損害項目を漏らさずに正当な賠償額を獲得することは専門家の判断を要する場面も多々あります。

そのため、後遺障害等級が認定されていない場合であっても、一度専門家にご相談することをお勧めいたします。

この相談を見た人はこちらも見ています

交通事故の弁護士無料相談

交通事故の後遺障害1級~14級・死亡事故のご相談は無料です

交通事故の慰謝料自動計算機