交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

労災と自賠責の後遺障害申請について

2014年06月12日

自動車で通勤途中に交通事故に遭い、第一腰椎圧迫骨折の怪我をしました。

現在治療中ですが、医師からは、脊柱に変形が残る可能性が大きいので、あとで後遺障害の申請をすることになるだろうと言われています。

通勤途中の事故なので、労災の適用があるのですが、労災の後遺障害と、自賠責の後遺障害は別に申請することになるとのことです。

この場合、どちらを先に行った方がいいのでしょうか?
それとも、結果はどちらも同じなのでしょうか?

弁護士からの回答

交通事故のうち、通勤途中の交通事故の場合には、自賠責への請求ができる他、通勤災害として、勤務先が加入している労災保険の療養給付、休業補償給付、傷病補償年金のほか、負傷が治ったときに、身体に一定の障害が残った場合には、障害給付が支給されることとなります。

そして、この場合には、どちらからでも給付を受けることができますが、支給の適用対象がそれぞれ異なることとなりますので、各事案で、より厚く給付が受けられるよう請求することになります。

もっとも、労災と自賠責保険では、後遺障害が残っている場合には、後遺障害に関する部分については支給調整が行われ、両者で重なる部分については、自賠責と労災の双方から支給を受けることはできません。

なお、自賠責と労災では、同じ等級認定基準を用いていますが、労災の方が高い等級が認定される傾向があります。

では、自賠責と労災のどちらに申請をすべきでしょうか。

例えば、自賠責保険から先に保険金の支払を受ける場合には、仮渡金制度や内払金制度を利用することによって事実上速やかに支払いが行われる点や自賠責保険では労災保険で給付対象とならない付添看護費や入院雑費についても給付を受けられる点で有利です。

他方、自賠責保険は傷害についての支給額の上限が120万円になりますので、加害者が任意保険に加入しておらず、治療費が高額になるような事案においては、自賠責保険から先に受給すると、治療費のみで当該120万円の上限を超えてしまい本来受給できるはずの慰謝料の受給を全く受けられないといったことがあり得ます。

したがって、このような場合には労災保険から先に受給する方が良いと言えます。

このように、どちらから先に給付を受けるのが有利かについては、被害者の方の具体的な事情によって様々ですので、できれば一度専門家にご相談されるのが宜しいと存じます。

なお、労災保険から先に受給した場合であっても、労災保険で給付対象となっていない慰謝料や労災保険からの受給金額を控除した金額について自賠責保険あるいは任意保険から受給できますし、自賠責保険あるいは任意保険から先に受給した場合であっても、労災保険から特別支給金や障害年金、遺族年金等を受給できますので、両方に受給の申請を行うのを忘れないように気をつけて下さい。

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