交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

夫(40・妻と子3人、年収600万円)が交通事故で死亡しました。慰謝料額はいくら?

2014年07月19日

交通事故で死亡した場合に、損害賠償額として請求できる項目には、主に以下のものが挙げられます。

①葬儀費
②死亡逸失利益
③慰謝料
④弁護士費用(裁判をした場合)
上記の他にも、即死ではなく、治療の後に死亡した場合は、実際にかかった治療費、付添看護費、通院交通費等を請求することができます。また、損害賠償を請求するために必要な診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書等の取得にかかった費用も、損害賠償関係費として請求できます。

では、上述の被害者が死亡した場合の損害賠償額がいくらになるのかを具体的にみていきましょう。弁護士が依頼を受けて交渉や裁判を行う場合、損害賠償額の算定については、日弁連交通事故相談センターが出している書籍「民事交通事故訴訟損害賠償算定基準」(通称「赤い本」と言います)を使用しますが、この赤い本に書かれている基準を「裁判基準」といいます。以下の金額は裁判基準によりますが、通常、保険会社が示談の段階で出してくる金額は裁判基準より低い場合がほとんどですので、注意が必要です。

①葬儀費

原則150万円で、150万円を下回る場合は実際に支出した額となります。

②死亡逸失利益

死亡逸失利益は下記の計算式で算定されます。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
基礎収入とは、交通事故で死亡しなければ将来労働により得られたであろう収入です。

生活費控除とは、生きていればかかったはずの生活費分を、基礎収入から差し引くことです。生活費の控除率の目安は、被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合は40%、一家の支柱で被扶養者2人以上の場合は30%、女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合30%、男性(独身、幼児等含む)の場合は50%です。

就労可能年数は、原則として67歳までです。ただし、職種、地位、能力等によって、67歳を過ぎても就労することが可能であったと考えられる事情がある場合には、67歳を超えた分についても認められることがあります。

ライプニッツ係数とは、損害賠償の場合、将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことです。

40歳、年収600万円で、被扶養者が妻と子供3人の被害者の場合の計算式は以下のとおりです。

6,000,000円×(1-0.3)×14.643=61,500,600円

③慰謝料

被害者が一家の支柱の場合は2800万円、母親・配偶者の場合は2400万円、その他
(子供、成人独身者、高齢者等)の場合は2000万円~2200万円が相場です。

今回の被害者は一家の支柱ですので、2800万円が慰謝料となります。

なお、妻子など近親者の慰謝料も数百万円認められますが、この場合は本人の慰謝料額が減額され、全体の慰謝料額として金額の調整がなされます。

④弁護士費用

弁護士に依頼し裁判で損害賠償を請求した場合、請求認容額の10%程度が弁護士費用と
して認められます。これは実際の弁護士費用とは無関係です。

上述した請求額は、
1,500,000円+61,500,600円+28,000,000円
=91,000,600円
となりますので、弁護士費用は91,000,600円の10%の9,100,000円
となります。

したがって、40歳、男性、妻と子3人、年収600万円の被害者が死亡した場合の損害賠償額の合計は、

1,500,000円+61,500,600円+28,000,000円+9,100,
000円=100,100,600円

となります。

 

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