交通事故で裁判をした方が得な場合と損な場合とは?

交通事故に遭うと、まずは加害者や加害者の保険会社と示談交渉を進めるものですが、合意ができない場合には裁判をせざるを得ません。

ただ、やみくもに裁判をすれば良いというものでもありません。

今回は、交通事故に遭ったときに裁判をした方が得なケースと損なケースについて、弁護士が解説します。

交通事故裁判の特徴、示談との違い

交通事故に遭ったら、通常は加害者や加害者の保険会社との示談交渉で解決するので、裁判がどのようなものかわからない、という方もおられるでしょう。

まずは、交通事故の裁判の特徴を説明します。

話合いではない

まず、裁判は話合いの手続きではありません。

お互いが法律的な主張と立証を行い、裁判所に最終的な判断をしてもらう解決方法です。

相手と意見が合致しないときでも、裁判所に結論を出してもらって最終的な解決をはかれます。

この点で、あくまで話合いで解決しようとする示談交渉とは大きく異なります。

ただ、裁判の途中で、「和解」の手続が取られることが多いです。

和解は、裁判所が被害者と加害者の間に入って話し合いを行います。

そこで合意が成立すると、「和解調書」を作成して判決をせずに裁判が終了することになります。

裁判基準で計算される

裁判で交通事故の賠償金を計算するときには、裁判基準が使われます。

裁判基準は法的な基準で、交通事故損害賠償金の計算基準の中でもっとも高額になり、正当な根拠のあるものです。

これに対し、被害者が自分で加害者の保険会社と示談交渉をすると、低額な任意保険基準を適用されるので賠償金が低くなるのが通常です。

裁判所が支払い命令を出してくれる

裁判をすると、裁判所が相手に支払い命令を出してくれます。

合意しないと支払いを受けられない示談交渉とは異なります。

負ける可能性がある

裁判をすると、必ず勝てるとは限りません。

被害者が交通事故で怪我をしたと主張しても、加害者が交通事故による怪我であることを否定してきたような場合、主張や立証が不十分であれば、被害者側が負ける可能性もあります。

示談には勝ち負けがありません。

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お金と時間がかかる

裁判をすると、示談で解決するのと比べて、お金と時間がかかる場合があります。

裁判した方が得になるケース

以上を前提に、裁判をした方が得になるケースをみてみましょう。

賠償金の金額が大きい

損害賠償金が大きい場合、示談よりも裁判によって相手に支払い命令を出してもらえる方が金額が高額になることが多く、メリットが大きいです。

こちらの言い分に法的な根拠がある

交通事故で加害者の保険会社と示談交渉をしていると、相手が法的な理由のない主張をしてくるケースがあります。

そのようなとき、裁判を起こすとこちらの言い分が認められやすいので、裁判を起こすメリットがあります。

証拠がある

きちんとこちらの主張を証明できる証拠があれば、認めてもらいやすいので裁判を起こすメリットがあります。

後遺障害の認定結果や過失割合に不満がある

後遺障害の認定結果や過失割合に不満がある場合、裁判をすると変更してもらえる可能性があるので、裁判をすべきケースがあります。

相手が任意保険基準をあてはめている

被害者が加害者の保険会社と示談交渉をしていて、相手が低額な任意保険基準をあてはめている場合、裁判をすると高額な裁判基準をあてはめてもらって賠償金が上がるので、裁判をするメリットが大きくなります。

弁護士費用特約が適用される

弁護士費用特約が適用される場合、300万円までの弁護士費用を保険からまかなえるので裁判費用が大きく軽減されます。

費用を気にせず裁判を起こせるので、裁判するメリットが大きくなります。

裁判すると損になるケース

反対に、以下のようなケースでは裁判をすると損になる可能性があります。

賠償金の金額が小さい

請求金額が小さいと、裁判を起こしても弁護士費用などで費用倒れになってしまうおそれがあります。

時間と労力とお金の無駄になるので、裁判しない方が良いことも多いでしょう。

証拠がない

自分の主張を証明できる証拠がない場合、裁判をしても主張が認められない場合がありますので、裁判をしない方がよい場合があります。

相手に全く支払い能力がない

加害者が任意保険に入っておらず支払い能力が無い場合には、裁判をしても回収できない場合があります。

ただし、弁護士費用特約保険が適用される場合、弁護士費用は保険からまかなえるので、裁判を起こしても良いでしょう。

交通事故で一定以上の多額の損害が発生している場合、裁判をした方が得になるケースが多いです。

 
裁判しようかどうか迷われているならば、弁護士がアドバイスいたしますので相談することをおすすめします。

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