長男が交通事故でひき逃げに遭いました。現在警察が捜査していますが、まだ見つかっていません。このまま加害者が見つからない場合、治療費や慰謝料などは、どうなるのでしょうか?
交通事故にあった場合,加害者に対して治療費等を請求し加害者から直接支払を受けるか,加害者加入の保険会社から治療費等の支払を受ける(治療費であれば病院に直接支払ってもらう)ことが一般的です。
では,ひき逃げ等で加害者が行方不明の場合にはどうすればいいでしょうか。
この点,加害者が見つかっていなくとも,自動車のナンバー等から加害車両や加害者が特定できる場合には,加害車両に適用のある自賠責保険(共済)や任意保険から治療費や慰謝料の支払を受けることが可能です。
それでは,加害車両や加害者が全くわからない場合にはどうすればいいでしょうか。
この場合には,自賠責保険(共済)や任意保険から支払を受けることは困難です。
もっとも,政府保障事業から補償を受けることができます。
政府保障事業とは,自動車損害賠償保障法に基づき,自賠責保険(共済)の対象とならないひき逃げ事故や無保険事故が生じた場合に,政府が損害を填補する制度です。
ただし,人身に対する損害のみを対象としていることや,填補には限度額が定められており,傷害,後遺障害,死亡のいずれの場合の限度額も自賠責保険(共済)と同一(傷害は120万円,後遺障害は等級に応じて,死亡は3000万円)とされていますので,損害全てが填補されるとは限らないことに注意が必要です。
したがって,すねおさんのご質問の場合,このまま加害者が見つからず,仮に加害者や加害車両が全くわからなくとも,政府保障事業に対し治療費や慰謝料などを請求していくことになるかと存じます。