交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

21歳女性です。慰謝料額はいくらですか?(後遺障害で併合10級)

2014年10月06日

娘の交通事故の相談です。

娘は21歳で、専門学校を出てから眼科の受付として働き始めたばかりで事故に遭いました。
脊柱変形と鎖骨変形の後遺障害で併合10級です。

先日保険会社からの通知があり612万円でどうかとのことでしたが、検討すると返事しておりまだ示談はしていません。この金額で示談してしまってよいものでしょうか?

娘の月給は、まだ働き始めたばかりのときだったので14万円と低めですが、だんだんに上がるはずだったようです。一生残るであろう後遺症があるのに、600万円というのは低いと親としては感じるのですがどうでしょうか?

弁護士からの回答

交通事故で後遺障害が残った場合,後遺障害慰謝料及び後遺障害逸失利益を請求することができます。

そのため,612万円という金額の妥当性については,想定される後遺障害慰謝料及び後遺障害逸失利益の合計額と比較して判断する必要があります。以下,検討します。

まず,後遺障害慰謝料につきましては,後遺障害等級に応じて一応の基準が定められており,10級の場合には,550万円になります。

次に,後遺障害逸失利益につきましては,以下の計算式によって算定されます。

事故前年の収入×労働能力喪失率×就労可能年数に応じたライプニッツ係数

こで,事故前年の収入について,ご質問では月額14万円とのことですので,その12ヶ月分の168万円が基準になるようにも思われます。

しかし,前川様も疑問を持たれておりますように,若年者の女性の方,特に前川様のように働き始めで事故に遭い,今後も増収の予定があったという方の場合に,現実の収入が基礎収入となることは妥当ではありません。そこで,このような場合,現実の収入ではなく賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金(平成24年分では354万7200円とされています)を基礎収入として請求していくことが考えられます。

また,後遺障害等級10級の労働能力喪失率は27%が基準とされております。

最後に,就労可能年数は,症状固定時の年齢から67歳までの年数となります。そして,21歳で症状固定した場合,67歳までの46年に対応する係数は17.8801となります。

以上を先ほどの計算式にあてはめると,

354万7200円×0.27×17.8801≒1712万4558円となります。

そうしますと,後遺障害慰謝料と逸失利益だけで,損害額は約2262万円となり,加えて,治療費や通院交通費,休業損害,入通院慰謝料といった金額も請求できますので,612万円という提示金額は少ないと思われます。

もっとも,後遺障害の内容,特に鎖骨変形が日常生活や就労に与える影響の程度によっては逸失利益の金額が上記金額よりも減額されることもありますし,前川様の過失が大きい場合には,総損害から過失分が控除されることになります。

したがって,612万円で示談してもよいかどうかは,具体的な後遺障害の内容や前川様の過失次第ということになりますので,一度弁護士に相談された方がよいかと思います。

この相談を見た人はこちらも見ています

交通事故の弁護士無料相談

交通事故の後遺障害1級~14級・死亡事故のご相談は無料です

交通事故の慰謝料自動計算機