交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

会社役員の逸失利益について教えてください

2014年08月07日

逸失利益の金額について質問です。

交通事故の被害に遭い、胸椎圧迫骨折となり、後遺障害は11級になりました。
私は会社の役員をしており、現在の年収はおよそ700万ほど、年は51歳です。
逸失利益はだいたいどれくらいになるでしょうか?

弁護士からの回答

逸失利益の計算方法は、
①基礎収入(事故前年の年収)×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間(通常症状固定日から67歳までの年数)に対応するライプニッツ係数
となります。

これを形式的にあてはめると、
700万円×0.2(後遺障害等級11級の労働能力喪失率20%)×10.8378(労働能力喪失期間16年に対応するライプニッツ係数)=1517万2920円
となります。

もっとも、藤田様のケースでは、会社の役員の役員であることから、①基礎収入の年収の考え方、後遺障害等級が胸椎圧迫骨折による11級であることから、②労働能力喪失率及び③労働能力喪失期間の考え方、に関して争われる可能性があります。

①基礎収入について

会社役員の方の報酬には、労務対価部分に加え、利益配当部分を含んでいることが多いです。

この利益配当部分については、労働に対する対価ではないため、後遺障害による労働能力低下により影響は受けません。

したがって、逸失利益の算定については、報酬額をそのまま基礎収入とするのではなく、役員報酬中の労務対価部分を認定し、利益配当部分は基礎収入から除外されます。

そして、労務対価部分の認定は、会社の規模(同族会社か否か)・利益状況、当該役員の地位・職務内容、役員報酬の額、他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料の額(親族役員と非親族役員の報酬の差異)、事故後の当該役員他の役員の報酬額の推移、類似法人の役員報酬の支給状況等を参考に判断されますが、名目的な報酬額の何割という形で認定する方法が一般的です。

例えば、役員報酬の一定割合を労務対価部分とした例としては、同族会社の役員につき、報酬額は被害者自身が任意に決定でき、死亡前の2期は損失が生じていても1000万円を超える役員報酬手当額が支給されていることから、その全額が労務対価部分とは認められないとして、同年年齢の賃金センサスの平均賃金が579万円であることにも鑑み、役員報酬の80%に相当する672万円を基礎収入とした例があります。

他方、役員報酬の全額を労務対価部分とした例としては、工務店代表者の逸失利益について、事故前の業務が営業よりも大工仕事や現場監督などの仕事が主なものであり、事故後それらができなくなったことによって外注費が増大しているとの事情から、役員報酬の全額を基礎収入とした例があります。

②労働能力喪失率及び③労働能力喪失期間について

脊椎圧迫により可動域制限が出ている場合には、喪失率表通りの労働能力喪失率が67歳までの間認められる可能性が高いです。

しかし、変形障害しか残らなかった場合には、単に脊柱が変形しているだけであるから、労働能力は喪失していないとして労働能力喪失率が争われることが多です。

この点、実務上は、変形の程度が軽微である場合や、圧迫骨折した箇所の痛みが将来消失する可能性のある若年者ある場合等でなければ、原則として喪失率表の定める喪失率を認めるのが相当と考えるとされていますが、被害者の年齢、性別、職業、骨折の部位・程度、骨折事態の安定性の有無、神経症状の有無、せき髄傷害の有無、治療法の適否、固定術の方法など諸事情から脊柱変形が被害者の労働能力に対しあまり影響を及ぼさないと認められる場合には、喪失率表よりも低い労働能力喪失率が認められる可能性もあります。

また、後遺障害が脊柱の変形障害に伴う痛みだけの場合(可動域制限がない場合)には、労働能力喪失期間も10年に制限されることもあります。

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