交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

外国人が交通事故に遭った場合、逸失利益はどのように算定しますか?

2014年08月15日

交通事故の被害に遭い、後遺症が残った場合には、後遺症によって仕事に支障が出て将来得られたはずの利益を得られなくなってしまいます。

これを逸失利益といい、加害者側に請求することになります。

ところで、外国人の場合には、日本に住むのか、帰国して外国に住むのか、によって、働いて得る収入の額も変わってきます。

この場合、どのように逸失利益を算定するのでしょうか。

この点、労災事故の事案である裁判(最高裁平成9年1月28日判決)では、「当該外国人がいつまで我が国に居住して就労するか、その後はどこの国に出国してどこに生活の本拠を置いて就労することになるか、などの点を証拠資料に基づき相当程度の蓋然性が認められる程度に予測し、将来のあり得べき収入状況を推定すべきことになる。そうすると、予測される我が国での就労可能期間ないし滞在可能期間内は我が国での収入等を基礎とし、その後は想定される出国先(多くは母国)での収入等を基礎として逸失利益を算定するのが合理的ということができる。そして、我が国における就労可能期間は、来日目的、事故の時点における本人の意思、在留資格の有無、在留資格の内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労の態様等の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である」としています。

したがって、個別の事案の資料から、日本に滞在して就労することに相当程度の蓋然性が認められる期間については、日本での収入を基礎として逸失利益を算定し、母国に戻ることが予想される期間については、母国の収入を基礎として逸失利益を算定することになります。

なお、上記裁判例は、被害者が、在留期間が終了したにもかかわらず日本に残り就労している不法就労の場合でしたが、不法残留外国人は、法律により強制退去の対象となるものであるから、実際は直ちに摘発されずある程度の期間日本に滞在できる場合があるとしても、日本での就労可能期間を長期間認めることはできないとして、日本での就労可能期間を3年としました。

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