交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
交通事故弁護士相談Q&A|みらい総合法律事務所

70歳の交通死亡事故の慰謝料額を教えてください。

2014年06月23日

70歳の夫が交通事故で死亡しました。

保険会社から示談の話があり、金額は約2000万円でどうかと言われています。

私たち夫婦は年金暮らしで、夫の年金は、年180万ほどでした。

この金額で示談してしまって問題ないでしょうか?

弁護士からの回答

旦那様がお亡くなりになった件、心からお悔やみ申し上げます。

ご家族が死亡事故にあった場合に請求できる項目は、主に①治療費、②葬儀関係費用、③慰謝料、④逸失利益、⑤弁護士費用になります。

まず、①治療費ですが、これは治療にかかった実費を請求していくことになります。

次に、②葬儀関係費用ですが、葬儀にかかった費用を請求していくことができるのですが、原則として上限を150万円として、支出した実費相当額について認めらます。

次に、③慰謝料ですが、実務上では、亡くなった方の類型ごとに金額が決まっており、お亡くなりになった方が、
一家の支柱の場合には、2800万円
母親、配偶者の場合には、2400万円
その他(独身の男女、子供、幼児等)の場合には、2000万円~2200万円
となます。

今回はお亡くなりになったのが旦那様とのことなので、上記の類型によれば2800万円に該当しそうですが、お亡くなりになった方がご高齢の方ですと、2000万円くらいまで下げられしまう傾向があります。

そのため、今回も慰謝料は2000万円が相当であると考えます。

次に、④逸失利益ですが、年金を受給していたということですので、年金部分についての逸失利益が認められます。

年金部分の逸失利益の計算式は、
180万円(年金額)×(1-0.7(生活費控除率※))×10.3797(70歳男性の平均余命(15年)に対応するライプニッツ係数)≒560万円
となります。

※生活費控除率というのは、もし生きていれば収入のうち、何割かが生活費として消費されるところ、亡くなったことにより生活費も免れることになったため、その分を控除しようというものです。

年金収入の場合、その大部分が生活費として費消されるだろうという考えから、生活費控除率は7割程度と認定されることがあります。

また、仮に旦那様が家事労働を行っていたのであれば、家事労働部分についての逸失利益も認められます。

この場合の逸失利益の計算式は、
236万4800円(基礎収入)×(1-0.5(生活費控除率))×5.7864(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)≒684万円
となります。

家事労働の方の基礎収入は、賃金センサス学歴計全年齢女性労働者平均賃金(354万7200円)とするのが原則ですが、ご高齢の方の場合には、学歴計年齢別(70歳以上)女性労働者平均賃金(295万6000)の8割程度にされるケースが多いので、
295万6000×0.8=236万4800円
と致しました。

もちろん、家事を分担していた等、実際に行っている家事内容によってはさらに減額される可能性はございます。

就労可能年数は、ご高齢の方の場合、平均余命の半分とされていますので、70歳の場合には、平均余命は約15年ですので、その約半分の7年(ライプニッツ係数5.7864)になります。

次に、⑤弁護士費用ですが、弁護士費用は、通常請求額の全額の1割とされています。

もっとも、示談の際には弁護士費用までは通常は請求できません。

したがって、損害総額としては、仮に家事労働分の逸失利益がなかったとしても、約2700万円程度は見込まれますので、保険会社の提示額は妥当額よりも低額であると考えます。

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