交通事故の死亡事故・後遺障害被害者の質問に回答
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16歳娘の外貌醜状の逸失利益について

2014年06月20日

16歳の娘が交通事故に遭い、顔に傷が残ってしまいました。

後遺症は、外貌醜状で12級14号です。

保険会社から、外貌醜状は労働に影響を与えるものではないため、逸失利益は発生しないと言われたのですが、本当にそうなのでしょうか?

将来娘がどのような職業に就くのかはまだわかりませんが、傷によって選択が限られたり、仕事の内容に影響したりする可能性がないとは言い切れないのではないかと思うのですが。
ご回答をお願いします。

弁護士からの回答

醜状障害は、一般的にそれ自体が身体的機能を左右するものではありません。

しかし、仕事するためには多くの場合、他人との直接的接触・交流が必要となります。

このような接触・交流に当たり、醜状障害が円満な対人関係を構築し、円滑な意思疎通を実現する上で阻害要因となってくることは容易に想像できます。

したがって、外貌醜状は労働に影響を与えるものではなく、逸失利益は認められないとは必ずしも言えません。

裁判例は、外貌醜状における逸失利益の肯否を認定するに際し、①醜状障害の内容及び程度、②被害者の職業、③被害者の性別、④被害者の年齢を考慮要素としています。

①醜状障害の内容及び程度

先ほど述べましたように、仕事をする上での他者との接触・交流に当たり、醜状障害が円満な対人関係を構築し、円滑な意思疎通を実現する上で阻害要因となってくることがありますが、これは醜状障害の内容及び程度がひどいほど顕著になってきます。

そのため、醜状障害の程度が「著しい」程度(7級相当)に達している場合には、逸失利益が肯定される例が多いです。

他方、醜状の程度が12級程度にとどまる場合には、近年の裁判例を見ると、逸失利益が否定される例の方がやや多いです。

②被害者の職業

円満な対人関係の構築や円満な意思疎通の実現自体が職務上の中核となってくるホステス、モデル、営業担当者等の場合には、、これらが職務上周辺的な位置づけとなる(又はさほど意味をなさない)職業に比較して労働能力が喪失したと評価されることは明らかです。

③被害者の性別

醜状障害の対人関係円滑化に関する労働能力の喪失の程度には男女差があり、女性の方の方が客観的なダメージが大きいといえます。

実際に、女性の事例では広く逸失利益が肯定される傾向にはあります。

④被害者の年齢

年齢が逸失利益の肯否に与える影響は、原則として限定的なものではありますが、将来の就職、転職等の可能性を検討するにあたり、年齢が考慮されることもあります。

本件のケースでは、醜状の程度としては12級ではありますが、16歳という若年の娘様ということですが、上記裁判例の考慮要素に鑑みると、逸失利益が肯定される可能性はあると思います。

実際、外貌醜状12級の9歳の女の子の事例において、未就業の女性であること、就業機会が一定程度制約されること等を考慮し、逸失利益が肯定した裁判例もあります。

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