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財産分離

最終更新日 2019年 02月11日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

財産分離制度とは

「財産分離」とは、相続財産と相続人の固有財産との混合を避けるため、相続開始後に、相続債権者、受遺者、相続人の債権者の利益を保護するため、それらの者の請求によって、相続財産を分離して管理・清算する手続のことです。

相続債権者は相続財産からの回収を期待しています。

受遺者は、相続財産からの財産の取得を期待しています。

しかし、相続人の固有財産が債務超過であるときは、相続財産がプラスであっても、相続人の固有財産と混合することによって、債権の回収ができなくなったり、財産の取得ができなくなったり、というような事態が生ずる可能性があります。

そこで、そのような事態を防ぐために相続財産と相続人の財産を分離する手続が「第一種財産分離」というものです。

次に、相続人の債権者は、相続人の固有財産からの回収を期待していますが、相続財産が債務超過であるにもかかわらず、相続人が相続放棄や限定承認をしないときは、債務超過である相続財産と相続人の固有財産が混合することにより、債権の回収ができなくなったり、財産の取得ができなくなったり、というような事態が生ずる可能性があります。

そこで、そのような事態を防ぐために相続財産と相続人の財産を分離する手続が「第二種財産分離」というものです。

財産分離の手続

相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3ヵ月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができます。

相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、3ヵ月経過後もできることとされています(民法第941条1項)。

家庭裁判所は、財産分離の必要性が認められる場合には、審判で財産分離を命じ、必要な処分を命じることができます(民法第943条)。

いかなる場合に家庭裁判所は財産分離を命じることができるかについて争われた事例で、最高裁平成29年11月28日決定(判例時報2359号10頁)は、「家庭裁判所は、相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから、相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者等がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難となるおそれがあると認められる場合に、民法941条1項の規定に基づき、財産分離を命ずることができるものと解するのが相当」としました。

財産分離の請求があると、相続人は、以後、その固有財産におけると同一の注意をもって相続財産の管理をしなければなりません(民法第944条)。

なお、不動産については、財産分離の登記をしなければ、財産分離を第三者に対抗できないとされています(民法第945条)。

財産分離の審判が確定すると、財産分離を請求した者は、5日以内に、相続債権者・受遺者に対して財産分離があったこと、および2ヵ月以上の期間を定めて、その期間内に配当加入の申し出をすべきことを公告しなければなりません(民法第941条)。

そして、期間経過後に配当手続へと移っていきます。

財産分離の請求があった場合でも、思い入れがある自宅不動産など、相続人が相続財産を手放したくないような場合があります。

そのような場合には、相続人は、相続人の固有財産をもって相続債権者もしくは受遺者に弁済をし、または相当の担保を提供して、財産分離の請求を防止し、またはその効力を消滅させることができます。

ただし、相続人の債権者が、これによって損害を受けることを証明して異議を述べたときは、この限りではありません(民法第949条)。

相続回復請求権

相続回復請求権は、相続人でない者が相続財産の全部または一部を占有して真の相続人の相続権を侵害している場合に、真の相続人が相続財産を占有している表見相続人に対して相続財産の回復を請求する権利です。

民法は、相続回復請求権について、第884条で「相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする」として一箇条のみ規定しています。

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