交通事故に遭い、脊柱変形の後遺障害が残ってしまいました。
後遺障害等級は8級です。
私は自営業で、広告やイベントの仕事をしています。
保険会社から、逸失利益を算定するためとのことで、確定申告書の提出を求められました。
確定申告書記載の収入額は350万円程度ですが、昨年の実際の収入は、800万円くらいでした。この場合、実際の収入額である800万円を基準に算定してもらうことはできますか?
逸失利益を算定する際の事業所得者の方の基礎収入については、原則として、事故前の申告所得額が用いられます。
この事故前の申告所得額について、裁判実務では、確定申告書や添付書類の控え、納税証明書や課税証明書の提出によって立証がされますが、所得の額が年によって大きく異なる場合には、事故前数年の平均の額が用いられます。
それでは、実際の所得が申告した額よりも多かった場合には、裁判実務ではどのように扱われるのでしょうか。
前提として、修正申告等がなされていないような場合には、自己矛盾を含む主張として厳しい認定がされることとなります。
その上で、どのように立証がなされるかと言いますと、収入や経費について、会計帳簿や伝票、日誌等の一事資料によることが必要となり、これらの信用性について文書の体裁や過去の統計と対比して判断がされることとなります。
したがって、これらの証拠を用いて立証に成功した場合には、実際の収入額である800万円を基準に、所得を計算し、その所得額を基礎収入として逸失利益の算定がなされることとなります。