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弁護士法人みらい総合法律事務所

重加算税とは


重加算税は、納税者が事実を隠蔽又は仮装することによって、少ない税額で申告をしたり、あるいはそもそも申告をしなかったり、という場合に、本来の税額に35%以上の税率を加算して賦課されるものです。

たとえば、隠蔽又は仮装して過少に申告した部分の税額が1億円だとすると、1億円の納税とは別に、その35%以上、つまり、3500万円以上の重加算税が課せられることになります。

重加算税は、不正に税金を免れたことに対するペナルティーであり、これによって、税金逃れをなくそう、という行政上の措置です。

刑罰とは異なります。

刑罰は、いわゆる「脱税」と呼ばれているものであり、重加算税とは別に、刑事裁判が行われて懲役刑等が科せられるものです。

重加算税の法律上の要件と効果

国税通則法68条1項の要件

「第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、

納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、

政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額・・・に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。」

条文上の要件を分解すると、以下のようになります。

①過少申告加算税の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)

②納税者が

③その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、

④隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた

以上の要件を満たすと、効果として、隠ぺい又は仮装した部分に相当する税額につき、過少申告加算税に代えて、35%の割合を乗じた重加算税が課せられます。

但し、この場合に期限後申告等(期限後申告書又は修正申告書の提出
(更正又は決定を予知してされたものに限る)

更正又は決定、

納税の告知又は告知を受けることなくされた納付)の前日から起算して

5年前の日までの間に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課されたことがある場合には、10%の割合が加算され、

45%の割合を乗じた重加算税が課せられます(同条4項)。

国税通則法68条2項の要件

国税通則法68条2項の要件

「第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、

その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、

納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、

当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額・・・に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。」

条文上の要件を分解すると、以下のようになります。

①無申告加算税の規定に該当する場合
(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)

②納税者が

③その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、

④隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していた

以上の要件を満たすと、効果として、隠ぺい又は仮装した部分に相当する税額につき、無申告加算税に代えて、40%の割合を乗じた重加算税が課せられます。

但し、この場合に、期限後申告等
(期限後申告書又は修正申告書の提出(更正又は決定を予知してされたものに限る)、

更正又は決定、納税の告知又は告知を受けることなくされた納付)
の前日から起算して5年前の日までの間に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課されたことがある場合には、

10%の割合が加算され、50%の割合を乗じた重加算税が課せられます(同条4項)。

国税通則法68条3項の要件

国税通則法68条3項の要件

「前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、

税務署長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額・・・に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。」

条文上の要件を分解すると、以下のようになります。

①源泉徴収国税の不納付の場合において
(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)

②納税者が

③事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し

④隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつた

以上の要件を満たすと、効果として、隠ぺい又は仮装した部分に相当する税額につき、

不納付加算税に代えて、35%の割合を乗じた重加算税が課せられます。

但し、この場合に期限後申告等
(期限後申告書又は修正申告書の提出(更正又は決定を予知してされたものに限る)、

更正又は決定、納税の告知又は告知を受けることなくされた納付)
の前日から起算して5年前の日までの間に同じ税目に対して無申告加算税又は重加算税を課されたことがある場合には、

10%の割合が加算され、45%の割合を乗じた重加算税が課せられます(同条4項)。

重加算税の立法趣旨

重加算税の立法趣
重加算税の立法趣旨に関し、
最高裁昭和45年9月11日判決(刑集24巻10号1333頁)は、

「国税通則法六八条に規定する重加算税は、同法六五条ないし六七条に規定する過少申告加算税その他の加算税を課すべき納税義務違反が、

課税要件事実を隠ぺいし、又は仮装する方法によって行われた場合に、

行政手続により違反者に課せられるもので、これによってこのような方法による納税義務違反の発生を防止し、

もって徴税の実を挙げようとする趣旨に出た行政上の措置であり、違反者の不正行為の反社会性ないし反道徳性に着目してこれに対する制裁として科せられる刑罰とは趣旨、性質を異にする」

と判示しています。

「隠ぺいし、又は仮装し」の定義

国税通則法68条1項に規定する「‥‥の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ペいし、又は仮装し」たとは、

和歌山地裁昭和50年6月23日判決(TAINS Z082-3588)が、
「不正手段による租税徴収権の侵害行為を意味し、
「事実を隠ペい」するとは、事実を隠匿しあるいは脱漏することを、「事実を仮装」するとは、所得.財産あるいは取引上の名義を装う等事実を歪曲することをいい」いずれも行為の意味を認識しながら故意に行うことを要するものと解すべきである。」として以降、概ねこのように解されています。

国税庁は、「課税処分に当たっての留意点」(平成25年4月 大阪国税局 法人課税課、TAINS H250400課税処分留意点178頁)において、

「『隠蔽』とは、課税標準等又は税額の計算の基礎となる事実について、これを隠蔽し、あるいは故意に脱漏することをいい、

また『仮装』とは、財産あるいは取引上の名義等に関し、あたかも、それが真実であるかのように装う等、故意に事実を歪曲することをいう(名古屋地裁昭和55年10月13日判決)」としています。

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