Q17.裁判手続とその費用及び時間について

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17.裁判手続とその費用及び時間について

リフォーム工事を450万円で請け負い、完成させて引き渡しましたが、着工時に100万円もらっただけで残金350万円は支払ってもらえません。施主とは何度も話し合い、施主の言うとおりにダメ工事を何回も行いましたが、その都度あれこれと別の箇所にも注文をつけられ、一向に残金を支払ってくれないのです。ここまで来ると裁判で解決するしかないと思っていますが、裁判手続の内容や、裁判にかかる費用、時間を教えて下さい。

裁判の種類

裁判には、仮差押・仮処分等の保全手続(保全訴訟)と通常の裁判手続(本案訴訟)との2種類があります。

保全訴訟

保全訴訟というのは、例えば施主が持っている財産を処分してしまうおそれがあり、本案訴訟を起こして勝訴判決を得ても、工事代金を回収することができなくなる可能性があるという場合に、本案訴訟の前に仮差押をして財産の保全を図るという制度です。裁判は勝訴判決をとって強制執行することを目的とするものですが、相手に財産がなければ勝訴判決を得ても単なる紙くずになってしまうおそれがあります。そうならないために、事前に相手が財産を自由に処分できないようにしようとする制度です。
裁判所に保全申立書を提出すると、裁判所は申立人と面接して意見を聞き、保全の必要性や緊急性があるかという観点から決定を出します。相手の意見を聞かないで判断する場合が多いと思われますが、場合によっては裁判所に相手を呼んで話を聞くこともあります。
保全決定が出されることにより相手に損害を与える場合がありますので、その担保のために、申立人は保証金を供託させられるのが一般的です。供託金は、裁判官が面接した上で金額を決定しますが、請求額が350万円の場合であれば、約100万円を供託することになると思われます。もっともこの供託金は、裁判で勝訴判決を得たり和解が成立すれば、返還されるものです。
保全手続は、本案訴訟を起こす前に必ず行わなければならないというものではありませんし、このような保証金が必要となるために、実際には保全手続は行わずにいきなり本案訴訟を提起するというケースの方が多いです。

本案訴訟

本案訴訟は、まず訴状というものを提出するところからスタートします。訴状を提出する際には、印紙と郵券(切手)が必要になります。印紙代は訴訟物の価額(請求額)によって異なりますが、請求額が350万円であれば印紙代は2万5600円です(ちなみに1000万円だと5万7600円、1億円だと41万7600円かかります)。郵券代は相手(被告)の数によって異なりますが、被告が1人であれば6400円です。その他に、弁護士を依頼するときは弁護士費用がかかります。弁護士は費用を2段間に分けていただいているのが一般的であり、仕事に着手するときには着手金を、仕事が終わって依頼者に利益があるときには報酬金をいただいております。現在は撤廃されましたが、日本弁護士連合会の報酬基準によれば、経済的利益が350万円の場合は着手金が26万5000円となります。報酬金は、裁判に完全に勝訴すれば53万円となりますが、裁判に負けた場合は0円です。但し、これはあくまで一つの目安であって、弁護士によって多少金額が異なると思います。
訴状を提出すると、その1~2ヶ月後に第1回目の裁判が開かれます。被告はその前に答弁書という反論書を提出し、その後は大体1ヶ月に1回の割合で裁判が開かれ、書面によって主張と反論が繰り返されます。もっとも東京地方裁判所の場合は建築紛争の専門部があり、そこに係属した事件は、本案訴訟手続から調停手続に移行されるのが一般的です。調停手続とは、建築士と弁護士との2人の調停委員がお互いの言い分を聞き、場合によっては現地調査も行い、専門的見地から調整を図り、話し合いによって紛争解決しようとする制度です。しかし、話し合いが決裂するときもあり、そのような場合は本案訴訟に戻り、証人尋問などの手続を経て、判決をもらうことになります。
裁判にどのくらいの時間がかかるのかは一概に言えません。相手からどのような主張が出てくるか分かりませんし、建築紛争の場合、建物の瑕疵が多数あると争点が増えますので長期化する傾向にあります。また調停が成立しなかった場合は、更に本案訴訟を行いますので当然に時間がかかります。ちなみに私が関与した建築紛争では、一番早く解決したものは数ヶ月、一番長引いたものは約7年間もかかりました。現在は、裁判所も全ての裁判を2年以内に終結させようと努力していますので、今後は2年以上かかるケースは、それほど多くないものと考えております。

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