Q16.欠陥建物の損害賠償責任の期間

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16.欠陥建物の損害賠償責任の期間

当社(A社)は建売業者であり、7年前に住宅を建築してB氏に売却し、その後B氏はC氏に当該住宅を売却しました。ところが今になってC氏から、雨漏りがする、調べてみたら軸組構造にも欠陥があることが判明した、すぐに補修工事をして欲しいと言われました。調査したところ確かに当社の工事に欠陥がありましたが、建物を建築してから既に7年も経っており、しかもC氏は当社とは何の関係もない方です。このような場合においても、当社はC氏に対して、責任を負わなければならないのでしょうか。

売買契約の瑕疵担保責任

A社とB氏、B氏とC氏とは、それぞれ売買契約を締結しています。売買契約の目的物に隠れたる瑕疵がある場合には、売主は瑕疵担保責任を負います(民法570条、566条)。ここで「隠れたる瑕疵」というのは、取引上通常要求される注意をしても発見できない欠陥のことをいいます。また「瑕疵担保責任」とは、具体的には損害賠償責任と契約解除のことをいいます。もっとも契約解除は、売買の目的を達することができないときにのみ買主に認められる権利です。

瑕疵担保責任の期間

買主がこれらの損害賠償請求や契約解除をするには、瑕疵があるという事実を知ったときから1年内に行わなければなりません(民法566条3項)。したがってA社がB氏に住宅を販売してから7年経っていたとしても、その後瑕疵が発見され、それから1年内であれば損害賠償請求や契約解除をすることは可能です。しかし何十年も経ってから瑕疵を発見したときでもこのような請求ができるかというと、そうではありません。最高裁判所平成13年11月27日判決によれば、瑕疵担保責任による損害賠償請求権は買主が売買の目的物の引渡を受けたときから10年間で消滅時効にかかるとしていますので、買主が目的物の引渡を受けたときから算定して10年以内に瑕疵を発見した上で損害賠償請求をしなければならないことになります。

転買人からの損害賠償請求

本件では建物引渡から7年しか経っていませんので期間の点では問題ありません。しかし建物がA→B→Cと売買された場合に、CからAに対して瑕疵担保責任を追及できるかについては問題があります。瑕疵担保責任は売買契約に基づくものですから、Cは売買契約を締結したBにしか瑕疵担保責任を追及することはできず、Aに対して直接瑕疵担保責任を追及することはできません。このような場合に考えられるのが、BのAに対する瑕疵担保責任の追及権をCがBに代わって行使するということです。このように他人の権利(債権)を行使することを債権者代位権と呼んでいます(民法423条)。しかし、他人の権利を行使するわけですからどのような場合にでも可能というものではなく、その他人が資産もないのに権利行使をしないという場合に限り認められる制度です。
本件の場合でいえば、Bに資産がなく、かつBがAに対して損害賠償請求をしないという場合にしか認められませんので、CがBに代位してAに請求するというのは難しいと思われます。
以上より、CがAに対して、売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及することは基本的にはできないといってよいでしょう。

不法行為責任

しかしCとAとの間に契約関係がない場合でも、不法行為責任(民法709条)というものがあります。例えば交通事故を起こした場合には当事者間に契約関係はありませんが、加害者は被害者に対して損害賠償しなければならないというのも不法行為責任によるものです。
建物を設計監理する者は、建築基準法を遵守して、建物の構造上安全性能を確保させて、第三者に損害を被らせないようにする注意義務を負っています(建築士法18条参照)。また建設業者は施工技術の確保に努めなければならず(建設業法25条の25)、建築基準法令に違反した建物を建築してはならない義務を負っています。このような義務に違反して瑕疵ある建物を建築し第三者に損害を与えた場合は、不法行為に基づく損害賠償責任を負わなければなりません。この損害賠償責任の期間は、被害者が損害及び加害者を知ったときから3年間または不法行為のときから20年間です(民法724条)。
したがいましてC氏が瑕疵を発見したときから3年以内であり、それが建物の完成引渡のときから20年以内であればA社はC氏に損害賠償をしなければならないことになります。なお、この損害賠償というのは金銭による被害弁償であり、C氏のような補修工事請求というものは認められていません。しかしC氏との話し合いにより補修工事を行う方が望ましいと思われますので、C氏と真摯に話し合って解決していただきたいと思います。

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