Q14.保証契約の範囲

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14.保証契約の範囲

当社はY氏宅の屋根の葺替工事を行い、「工事完了の日から5年間、一切の雨漏りの発生について無償で保証します」という保証書を発行しました。ところが工事後1年経ってからY氏宅から雨漏りが発生したとの連絡があり、調査したところ軒裏と外壁付近から雨漏りしていることが分かりました。そこで当社としては、屋根工事とは関係ない雨漏りであることから保証の範囲外であると伝えましたが、Y氏は保証書には一切の雨漏りと書いてある、雨漏り箇所は限定されていないと言って、毎日のように工事を要求してきます。このような場合はどうなるのでしょうか。

保証書について

建築工事に関しては、屋根工事に限らず、防水工事等についても保証書が発行されますし、建築工事全体について建築業者による保証書が差し入れられる場合もあります。これは工事請負契約とは別に、保証人が発注者のためにサービスとして行なうことを約束したものであり、行なわれた工事に瑕疵がないと思われる場合でも、一定期間内に不具合が生じた場合には保証人が無償で工事を行なうという保証契約(アフターサービス契約)と考えられます。

契約の解釈

そうしますと、ご質問のケースは保証書によって保証しなければならない範囲はどこまでかという保証契約の解釈の問題になってきます。確かに保証書には保証する範囲ついて「一切の雨漏り」と記載されており、「施工した箇所から雨漏りが発生した場合に限る」とは書かれていません。しかし行われた工事とは全く無関係に雨漏りが生じた場合にまで無償で工事しなければならないというのは保証人にとって酷な話です。
契約書に全ての約束事を網羅することはできませんし、契約書の文言について色々な解釈が可能な場合もあります。そこで契約の解釈に当たっては、契約書の文言に拘泥されるべきではなく、契約締結当時の諸般の事情、四周の事情を勘案して解釈されるべきであると言われております(最判昭30・10・4)。

判例では

保証書については、白蟻予防工事に関してですが、ご質問のケースと似た事件(東京高判平10・2・26)がありましたのでご紹介します。
これは下請人B社が白蟻予防工事を行ない、工事後5年間の白蟻発生について保証するという保証書を差し入れました。その保証書には、施主が構造変更した等いくつかの場合においては保証できない場合があると規定されていましたが、それ以外の場合は一切の白蟻発生に対して無償保証すると記載されていました。そして工事後3年目に白蟻が発生しのでB社は白蟻予防工事を行いましたが、次の年にも白蟻が発生し、その際にB社は工事を行いませんでした。そこで元請人A社が工事を行い、その費用をB社に請求したという事案です。
B社は、白蟻は外部から飛来してきたものであり、施工した床下から発生したものではないので保証の範囲外であると主張しました。これに対しA社は、保証の範囲は施工箇所に限定されていない、仮に限定されるとしても白蟻は地中から床下に侵入してきたものであり、保証の対象となると主張しました。
このケースにおいて、裁判所は、契約書が作成される経緯等から、保証書は白蟻予防が効果を生じなかった場合の責任を明らかにしたものであり、白蟻予防を施工した箇所に白蟻が発生した場合等に限る趣旨であると解釈すべきであるとし、白蟻予防とは関係がない場所から白蟻が発生した場合にまで保証責任が及ぶという解釈は合理的ではないとしました。その上で、白蟻は外部から飛来したものであると認定し、このような場合は保証の範囲には含まれないと判示しました。

雨漏りの保証

ご質問の場合を考えてみますと、保証書にいくつか保証しない場合が記載されているかどうかは分かりませんが、そのような記載がなかったとしても基本的には行った屋根工事とは関係ない箇所からの雨漏りについては保障の範囲外と考えてよいでしょう。しかし、雨漏りは軒裏と外壁付近から発生しているとのことですので、それが屋根工事とまったく無関係に生じているものかどうか疑問が残るところです。ケラバ水切りの納まりが悪かったためにそこから雨水が軒裏に廻って雨漏りしたということも考えられますし、屋根工事の際に外壁を損傷してそこから雨水が浸入したということも考えられます。したがいまして、雨漏りの原因を十分に調査する必要があるのではないでしょうか。

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