Q13.私道の通行権

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Q

13.私道の通行権

当社(X社)はA宅のリフォーム工事を行っていますが、近隣のB氏から、建築資材を搬入した際にB氏の車を傷付けたので弁償しろと言われました。当社としては何かを車にぶつけたつもりは全くなく、言いがかりに過ぎないと思っていますが、どのように対処したらよいでしょうか。また、B氏は、前面道路は42条2項道路であり、B氏にも持分があるので、今後は建築資材の積み降ろしのためであっても、自分の持分の道路部分については工事車両を通行させないと言って、道路を使用させてくれようとしません。このような問題についてもどのように対処したらよいか教えて下さい。

車両の損傷について

X社がB氏の車に建築資材等をぶつけて損傷をさせたというのであれば、当然に損害賠償しなければなりません。しかしぶつけたつもりは全くないというのですから、すぐにB氏の請求を受け入れるわけにもいきません。
そこで、まずはX社の工事担当者や下請業者等に、本当にB氏の車にぶつけたことはないかを確認してみて下さい。そして、誰もそのようなことはしていないというのであれば、X社が車を損傷したことをB氏に立証してもらうのがよいでしょう。法律的にいうと、車を損傷したというのは不法行為(民法709条)に当たりますが、不法行為の立証責任は被害者にあります。したがいまして、B氏に、誰が、何時、どこで、どのようにして車を傷付けたのか、また損傷の程度はどのくらいか、損害額はいくらなのかということを、具体的に説明してもらうとよいでしょう。また車の傷を見せてもらうのもよいと思います。それによって、建築資材による傷なのかどうか分かるかも知れません。

42条2項道路とは

建築基準法上の道路は、幅員が4m以上あることを原則としています。しかし建築基準法令が施行される以前から、幅員が4mに満たない通路にそって建築物が立ち並んでいるようなところも多数あったため、そのような通路も建築基準法上の道路として取り扱う必要がありました。そこで、救済策として、幅員4m未満の通路であっても特定行政庁の指定したものは、建築基準法上の道路とみなすこととしました(建築基準法42条2項)。このような道路は私道であることが多く、近隣の建築物所有者がそれぞれ道路の持分をもっていることも多く見受けられます。

42条2項道路の通行権

そこで、このような場合、他人所有の土地を第三者が自由に通行することは許されるのか、すなわち第三者に42条2項道路の通行権が認められるのかということが問題となります。
この点について、42条2項道路は私道とはいっても、建築基準法で交通の妨害となるような行為をすることが禁止されている等各種の制限があることから、専ら一般公衆の通行のために利用されるべきものであると考えられています。ただ、判例の多数は、私道所有者と第三者との間で通行権が積極的に設定されたわけではなく、私人の日常生活上に必須な道路利用である場合には、民法上保護される自由権(人格権)として保護されるべきであり、この自由権が侵害され、その侵害が重大かつ継続のものであるときは、自由権に基づいて妨害排除や妨害予防ができるという言い方をしています(東京地判平5・6・1判決等)。つまり、他人の土地を自由に通行する権利までは認められないけれども、道路利用が日常生活上必須なものである場合に、継続的かつ重大な妨害がなされたときは、それを排除したり予防したりすることができるという限度で権利性が認められるとしているのです。

ご質問のケースでは

X社は、リフォーム工事のために道路を利用しているに過ぎず、その道路が日常生活上に必須というわけではありません。しかし、A氏からしてみれば、X社がその道路を通行してもらわなければリフォーム工事できないのですから、A氏との関係において日常生活上必須な道路利用といえるでしょう。そこで、B氏による道路妨害が継続的なものであって、道路に障害物を設ける等というようにそれが重大な妨害である場合には、これを排除することができます。もっとも妨害を排除できるといっても、X社が自由にできるわけではなく、法治国家である以上、裁判や仮処分といった法的手続をとる必要があります。また、そのような手続は、X社ではなくA氏が行なう必要があります。なぜなら、前記のとおり日常生活上必須な道路利用というのは、A氏との関係で認められるものだからです。
またA氏とB氏との今後の近隣関係の問題もありますから、A氏とよく相談をしながら、対処方法を検討する必要があるでしょう。

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