Q11.シックハウス問題

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Q

11.シックハウス問題

シックハウスについての対処法を教えて下さい。
リフォーム工事を頼まれましたが、施主よりアレルギー体質なのでシックハウスの問題が起きないようにして欲しい、ホルムアルデヒドが使用されていない材料を使って欲しいという要望がありました。どのような点に注意して設計施工すればよいでしょうか。またシックハウスについて、何か法律上の規制はあるのでしょうか。

シックハウス症候群

数年前から、新聞や雑誌などで「シックハウス症候群」というものが話題になっています。「シックハウス症候群」とは、住宅に用いられた建材や接着剤に含まれている「化学物質」によって発生する健康被害のことをいいます。ここで「化学物質」とは、建材等に含まれている「有機化合物」を意味します。「有機化合物」は炭素と水素とでできた炭化水素を基本的な骨格とし、それに様々な元素が結合したものであり、反応性が高いため体内に取り込まれると体内の物質と反応を起こして様々な障害を生じさせることがあります。
具体的に、建材等に含まれている「化学物質」は次のとおりです。

  • 合板、ビニールクロス、グラスウール、フローリング: ホルムアルデヒド
  • 防蟻剤、保存剤: 有機リン系薬剤、ピレスロイド系殺虫剤
  • 塗料、接着剤: トルエン、キシレン
これらの「化学物質」が拡散して空気中の濃度が高くなると、頭痛、不眠、下痢、視力障害、めまい、筋肉痛、不整脈、皮膚炎、喘息等の症状を起こします。

法律上の規制

結論からいえば、「シックハウス症候群」ないし「化学物質」については、現時点において法律上の規制はありません。
平成9年6月に、厚生省が「ホルムアルデヒドの室内濃度指針」というものを発表しましたが、これはあくまで指針であって法的な強制力があるものではありません。ちなみにこの指針は、ホルムアルデヒドの室内濃度は30分平均値で0.1mg/m3 以下にするのが望ましいというものであり(室温23℃の下で約0.08ppmに相当し、これは異臭を感じる程度です。)、WHO(世界保健機構)の指針値を採用したものです。
また平成12年4月、住宅品質確保促進法が施行され、「性能評価制度」というものが採用されました。ホルムアルデヒドについては、居室に使用されている内装材のホルムアルデヒド放散量を減らす対策がどの程度講じられているかを等級で表すことにしています。また評価対象住宅の空気中の「化学物質」の濃度を測定する場合は、関連事項を明示しなければならないとしています。しかし「性能評価制度」を採用するか否かは任意ですし、「性能評価制度」を採用しても濃度測定するか否かは選択事項とされており、強制力があるものではありません。

紛争事例

しかし法律上の規制がなくても、住むことが出来ないような家を建築して健康被害を発生させたのであれば、建築業者が損害賠償責任を負わなければならない場合もあります。もっとも現在のところ、シックハウスに関する裁判で判決があったのは1件しか見当たりませんでしたが、このケースでは損害賠償は認められませんでした(横浜地方裁判所平成10年2月25日判決)。
これはアパートの賃借人がシックハウス症候群になったとして大家に損害賠償を求めたというものです。判決では、被害者が建物の材料によってシックハウス症候群になったということは認められましたが、その当時(平成5年)大家はシックハウス症候群について予見できなかったので過失はないものとされ、損害賠償責任は負わないという結論になりました。
しかし、現在シックハウス症候群も社会的に認知されつつありますので、今後は予見できなかったとはいえず、損害賠償責任を負わされるケースも増えてくると思われます。

設計施工の注意点

ご質問の場合、まず施主の方からシックハウスについての要望があったということですし、またリフォームの場合、居住しながらの施工であり工事中に換気方法など対処できない場合も多いので、設計段階からきちんとした計画をとることが必要です。第1に、通風、換気に配慮した設計をすることが大切です。「化学物質」の濃度は、換気によって希薄化されますので、最初から自然換気、強制換気の計画をきちんとするべきです。第2に、化学物質の放散が少ない建材等を適切に選択することも重要となります。なるべく自然素材を使うようにするとか、JIS、JASの等級を参考にホルムアルデヒド等の放散の少ない建材を使用する等の配慮が必要ですし、施主へどのような材料を使用するかも説明しておくべきでしょう。それによって工事費が高くなるのであれば、その説明もきちんと施主にすべきです。
また施工段階においては、合板・ボードの養生期間や接着剤・塗料の乾燥期間を十分にとる必要があります。これは「化学物質」の拡散は、時間が経てば経つほど低減されるからです。さらに場合によっては建物が完成してからベイクアウト(室内の温度を上げて「化学物質」を強制的に追い出す方法)するとか、拡散量が多い場合は「セラックニス」等で建材の表面処理をしたり、「活性炭」等の吸着剤を使用するという方法も検討すべきでしょう。

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