Q10.木造3階建てに関する問題

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Q

10.木造3階建てに関する問題

木造3階建て住宅の基準に適合した建物を建築しなかった場合、どのような責任を負うことになりますか?
当社は、主としてリフォーム工事をやってきた会社ですが、昨年、木造3階建て新築住宅を頼まれ工事をしました。前にも木造3階建てをやったことはありますが、その時も2階建ての小屋裏付きという形で工事をして何も問題はありませんでしたので、今回も同じような工法で建築しました。建築確認申請は設計士に依頼し、木造2階建て小屋裏付き建物ということで申請してもらいました。ところが、建物が揺れるということで施主からクレームがつき、その後、調べたら木造3階建ての仕様になっていないことが分かったので基準にあうように建て直せ、場合によっては裁判にすると言われています。どのように対処したらよいか教えて下さい。

木造3階建て住宅の実情

従前は、準防火地域では木造住宅は2階建てまでしか建てられませんでしたが、昭和62年の建築基準法の改正により、準防火地域でも木造3階建て住宅を建築できるようになりました。そして平成4年ころから木造3階建て住宅が急激に増え、現在では着工件数が当時の2~3倍にもなりました。しかし後述するような基準を守っておらず、2階建ての延長で建築していることがかなり見受けられるため、最近では木造3階建て住宅についてのトラブルがかなり増えているようです。

木造3階建ての基準

木造3階建て住宅については、主として構造性能と耐火性能について厳しい基準があります。
1. 構造性能
構造計算によって構造が安全であることを確かめなければならず(建築基準法20条2項)、また原則として確認申請書には構造計算書と構造図を添付しなければならないことになっています(建築基準法施行規則1条1項)。
2. 耐火性能
建築基準法令により、次のとおり細かな基準が設けられています。

  1. 屋根-不燃材料で葺かなければならない(建法63条)
  2. 屋根直下の天井-屋内側に耐火被覆をする(建令136の2)
  3. 軒裏-防火構造(建令136の2)
  4. 外壁-防火構造(建令136の2)
  5. 外壁の室内側-防火被覆をする(告示1905)
  6. 床直下の天井-防火被覆をする(告示1905)
  7. 室内に露出している柱・梁-小径12cm以上とするか、防火被覆をする(告示1905)
  8. 隣地境界線から1m以内にある外壁面の窓、ドアー常時閉鎖式、煙・熱感知器・温度ヒューズ連動式防火戸など(建令136-2)
  9. 8以外の外壁面の窓、ドアー延焼のおそれのある部分は防火戸(建法64条)
これ以外にも詳細な規定が沢山ありますので、詳しいことは「3階建て木造住宅の構造計算と防火設計の手引き」(建設省監修)を参考にしていただきたいと思います。

裁判では

このようにとても細かな基準ですので、建築士の方でも完全に把握されるのは難しいのではないかと思われます。しかしトラブルが増えるにつれて裁判例もいくつか出てきており、かなり厳しい判決も見受けられます。
大阪地方裁判所平成12年9月27日判決では、(01)軸組の長さが構造計算上必要な長さを下回っている、(02)軸組の配置の釣り合いも不良で地震力や風圧力の水平力を受けると倒壊の危険がある、(03)筋交等についても緊結不良である。(04)基礎のはつりにより剛性が弱められて不同沈下の危険がある、(05)外壁の裏面が防火構造不適格の材料であり、防火性能が不足している、と認定し、安全性を有する建物にするための補修方法としては建物を全て解体し、新たな建物を再築するより他に方法がないとして、約4000万円の損害賠償金を認めました。その他に鉄骨3階建て建物のケースですが、耐火性能が満たされていないとして約1650万円の損害賠償を認めた判例もあります(大阪地方裁判所平成10年20日判決)。

対応策

このような裁判例は今後も増えていくと思われます。したがいまして、もし構造計算をしていないのであれば、まずは専門家に構造計算を依頼して構造上の安全性を確認して下さい。もし安全性が確保されていない場合は、どのような補修をすべきか計画を建てて施主にきちんと説明をすべきです。耐火性能についても基準を満たしていない箇所は補修する必要があります。この点についても建築士に相談して、どのような補修をしたらよいか決めて、施主に提案するとよいでしょう。このまま放置しておけば、裁判を起こされて多額の損害賠償金を支払わされる可能性もありますので、施主とよく話し合いをして、出来る限り補修により解決するようにし、出費を最小限に押さえるよう努力していくのがよいと思われます。

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