Q8.下請会社が倒産したら

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Q

8.下請会社が倒産したら

下請会社が倒産して工事ができなくなった場合、どうしたらよいでしょうか?
当社(B社)はA氏から新築住宅の工事を2000万円で請け負い、C社に1800万円で下請工事を発注しました。そしてC社にはA氏からもらった着工金800万円全額を渡したところ、C社は工事に着工しないままその1週間後に手形不渡りを出して倒産してしまいました。当社はA氏からの着工金をすべてC社に渡してしまったために工事を進めることができなくなり途方に暮れています。どのようにしたらよいのでしょうか。

注文者との関係

B社は、注文者のA氏と建築工事請負契約をした以上、建物を完成させる義務があります。A氏に何か契約違反でもあれば話は別ですが、すでに着工金ももらっているということですから、C社が倒産したからといって工事ができないとは言えません。A社との関係ではC社を下請に選んだB社に責任があるのですから、B社は何とかして下職を集めて建物を完成しなければなりません。
もし工事ができずそのまま放置してしまえば、A氏から請負契約を解除され、すでに受領した800万円のほかA氏が被った損害を賠償しなければなりません。
また工事を続けるとしても、このことによって建物完成が遅れれば遅延損害金を支払わなければならないことになります。
このようにA氏との関係においては、法律上B社は厳しい立場におかれています。そこでA氏に事情を説明して少々延期してもらい遅延損害金が発生しないように交渉するとともに、資金を調達して少しでも早く工事ができるように努力すべきです。そうしても工事ができないというのであれば契約を解除してもらい、A氏に少しずつでも受領金を返済していくしかないでしょう。

下請人との関係

下請人C社との関係においては、B社は注文者の立場にありますから前記のA社と同様に請負契約を解除して、交付した800万円の返還請求をすることができます。
そこでB社にどのような資産があるかまず調査し、資産があればその保全を図る必要があります。不動産があれば仮差押をするとか、売掛金債権があれば債権譲渡を受けるといった方法が考えられます。しかしC社は手形不渡りを出しているのですから、そのような資産がある可能性は少なく、また仮にあったとしても不動産には抵当権が設定されているでしょうし、債権譲渡の協力についても期待できませんので、回収できない可能性の方が高いといえます。
では、このような場合は泣き寝入りするしかないのでしょうか。

取締役への責任追及

会社が不渡りを出したような場合、その代表取締役も借金だらけになっているのが通常ですが、代表者以外の取締役が不動産とか預貯金を持っているということは結構あります。そのような場合に取締役個人に対して損害賠償請求をするという方法があります。
商法266条の3第1項は、「取締役がその職務を行うにつき悪意または重大な過失があったときはその取締役は第三者に対してもまた連帯して損害賠償の責めに任ず」と規定しています。
どのような場合に取締役に「悪意または重大な過失」があったといえるかの判断は難しいところですが、ご質問のケースと似たような事案において重大な過失があったとした判例がありますので御紹介しましょう。
これは建築会社が工事請負契約をして着手金を受領したけれども、着工しないうちに倒産したといって事務所を閉鎖してしまったので、施主が建築会社の取締役に損害賠償請求をしたという事件です。判例は、会社の極度に悪化した経営状態から考えて、会社が請負契約に基づく工事を施工できる状態にないことを知りながら、会社の資金繰りの逼迫を、請負契約に基づく前払い金の入金により一時的にでも解消しようとして、あえて請負契約を締結して施主から金銭を受領し損害を被らせたものであり、その職務を行うにつき重大な過失があったとしました(東京地方裁判所平成9年12月18日判決)。
また、仮に代表取締役がこのようなことを独断で行い、他の取締役はそれを知らなかったという場合であっても、知らなかった取締役もそれについて連帯して責任を負わなければならないとされています(最高裁判所昭和48年5月22日判決)。これは、各取締役は代表取締役やその他の取締役の職務の遂行を監視すべき義務があり、もし代表取締役等が不正な行為を行っていれば、取締役会を招集することを求めて、取締取締役会を通じて業務が適正に行われるようにしなければならないと考えられているからです。
さらに単に名前だけ貸しただけで会社にも来ていないような取締役であっても、責任を負うものとしています(最高裁判所昭和55年3月18日判決)。
このように取締役に悪意・重過失があるような場合には、その取締役以外にも広く取締役という立場にある者全員に対して、責任追及することが可能なのです。
したがいまして、まず会社の商業登記簿謄本を閲覧して誰が取締役なのか調べるとともに、各取締役にどのような資産があるか調査されるとよいと思います。そして取れそうな財産がある場合には、取締役の責任追及の裁判を起こすことをご検討されては如何でしょうか。

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