Q6.借地上の建物の増改築

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Q

6.借地上の建物の増改築

借地上の建物について増改築する場合の問題点を教えて下さい。
.A氏から建物の増改築工事を頼まれましたが、A氏の建物は借地上に建っています。この場合、地主に工事内容の説明をした方がよいのでしょうか。また地主に増改築を反対されたような場合はどうすればよいのでしょうか。

原則として増改築は自由である

建物所有目的で借地契約をした場合、契約の範囲内であればどのような建物を建てるかは自由です。これと同様に、その後増改築をする場合にも、原則として契約の範囲内であれば自由に行うことができます。

地主の承諾が必要か

しかしながら借地契約に「増改築禁止」特約がつけられていることがあります。 これは増改築によって法律上借地期間が延長されたり、底地の価格に影響を及ぼしたりすることがあるため、地主にとって不利益になる可能性があることから、特にそのような制限をもうけたものです。
このような特約がある場合には、基本的には地主の承諾を得なければなりません。では地主の承諾なしに借地人が勝手に増改築してしまった場合はどうなるのでしょうか。
この点、地主が無断増改築を理由に借地契約を解除したケースにおいて、最高裁判所昭和41年4月21日判決は、「増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸人に著しい影響を及ぼさないため、借地人に対する信頼関係を破壊するおそれがないときは、地主は特約に基づく解除はできない。」として、借地人を救済しました。しかし反対にいうと、増改築が地主に著しい影響を及ぼす場合は借地契約が解除されるということであり、実際に契約解除を認めた判例もあります(東京地方裁判所昭和36年6月9日判決)。
このように見てくると、増改築禁止特約がある場合はもちろん、そのような特約がない場合にも、地主にきちんと説明して承諾を得た方がよいということになります。

地主の承諾が得られない場合には

しかし、どうしても地主の承諾が得られないという場合もあります。そのような場合には「増改築許可の裁判」という方法があります。
これは「増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。」(借地借家法17条2項、借地法8条ノ2)との規定に基づくものであり、「借地非訟」と呼ばれているものです。

再築の場合

再築とは、例えば建物が火事で焼失し建て替えるというような場合をいいます。再築の場合は、以上ご説明したところとは多少内容が異なるので注意を要するところです。この点については法律も変更されたこともあって少し分かりづらいかも知れません。
従来は、借地法(以下「旧法」といいます。)という法律があり借地人が非常に厚く保護されていましたが、地主の立場も少し強化しようということから、平成4年8月1日に借地借家法(以下「新法」といいます。)が制定されました。そして平成4年8月1日より前の借地契約には旧法が、それ以後の借地契約には新法が適用されることになっています。そして再築については旧法と新法とでは次のような違いがあります。

1. 契約期間中に再築する場合

《旧法》
借地人が残存期間を越えて存続する建物を建てる場合には、地主が遅滞なく異議を述べない限り、借地権は建物がなくなった日から堅固な建物では30年、非堅固な建物では20年、借地期間が延長されます。地主は、原則として契約解除をすることはできません。

《新法》
地主の承諾を得たときに限り、建物の種類を問わず、再築の承諾を得た日か、再築の日の早い方から20年間、借地権が延長されます。地主の承諾がない場合には、借地契約の残りの期間だけしか建物を存続させることができません。ただし借地人が通知をしてから2ヶ月以内に地主が異議を述べない場合は地主の承諾があったものとみなされます。増改築禁止特約がある場合の契約解除については、前述したところと同様です。

2. 契約更新後に再築する場合

《旧法》
特に規定はなく、契約期間中の再築の場合と同様になります。

《新法》
建物が滅失した場合において、借地権者が地主の承諾を得ないで残存期間を越えて存続する建物を築造したときは、地主は借地契約を解除することができます(借地借家法8条2項)。この場合は借地権は地主の解約申入れによって当然に消滅してしまいますので、十分に気をつけていただきたいところです。
以上のとおり、どのようなケースであっても地主とのトラブルを避けるためには、事前に地主に説明して承諾を得ることが望ましく、承諾が得られない場合には地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ることが必要です。

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