5. 孫請会社の代金回収方法

5. 孫請会社の代金回収方法

建設業者のための法律相談

Q

孫請会社の代金回収方法

孫請会社が請負代金の支払を確保する方法を教えて下さい。
B組は大手ゼネコンのA建設からマンションの建築工事の下請をし、さらに私のC工業はB組からその下請をしています。ところが昨今の建築業界の不況のあおりから、B組の経営状態が良くなく工事代金の支払も遅れがちです。もしB組が支払えなくなったときはA建設から直接支払ってもらえるのでしょうか。また支払を確実にする方法があったら教えて下さい。

孫請は元請に請求できない

孫請は元請に請求できないある程度規模の大きい建築工事においては元請だけで工事をすることはあまりなく、元請ー下請ー孫請という形態で工事がなされることがほとんどです。
そこでご質問のように元請が大手ゼネコンである場合は、孫請としては元請から直接工事代金を支払ってもらえるのであれば債権回収については安心していられます。
しかし請負契約は、注文者ー元請、元請ー下請、下請ー孫請と個別になされます。請負契約において工事代金を請求できるのは契約当事者に対してだけですから、原則として孫請が元請に直接、請負工事代金の請求をすることはできません。
したがってご質問の場合、C工業はA建設に工事代金の請求をすることはできないことになります。

工事代金の回収を確保する方法

最初から担保や保証を取っていれば債権回収を確保することが出来ますが、それがない場合、資金繰りの悪化した下請から新たに担保提供を受けたり連帯保証人を付けてもらうことは難しいかも知れません。
しかし下請は元請に請負代金債権をもっていますから、孫請はこれを確保することによって工事代金の回収を図ることができます。少々わかりにくいかも知れませんので、以下、最初の図を使ってご説明します。

債権譲渡

まずCはBから、BのAに対する請負代金債権(甲債権)を譲渡してもらうという方法があります。
この債権譲渡の手続で必ず行わなくてはならないことは、BからAに、BがCに甲債権を譲渡をしたという通知を内容証明郵便で送ってもらうということです。この通知がなければAはCに支払を拒絶できますし(民法第467条1項)、内容証明郵便で通知しなければならないのは確定日付がないとBが他の第三者にも債権譲渡したような場合、Cはその第三者に対抗できなくなってしまうからです(民法第467条2項)。
また通知を送るのは下請のBであって、孫請のCが勝手に通知を送っても無意味ですので注意して下さい。
ご質問の場合は、次のような内容証明郵便をB組に送ってもらえばよいでしょう。

立会受領と代理受領

BがAに債権譲渡の通知をしなければならないとすると、BはAから信用を失ってしまうとか、内容証明郵便を出すのが面倒くさいとかの理由でこれをいやがることがあります。
Bが債権譲渡を拒否した場合には、立会受領や代理受領によって支払を確保する方法があります。
「立会受領」とは、CがBと一緒にAのところに行って集金に立ち会い、その回収金をCの乙債権に充当する方法をいい、「代理受領」とは、CがBから債権回収、受領の委任を受けてBの代理人としてAから集金し、その回収金をCの乙債権に充当する方法をいいます。
いずれも債権回収には有効な方法ですが、Bが資金繰りに困っているときは約束を破って自分が取立に行ったり、他の債権者の圧力に負けて他にも同じような約束をしたり債権譲渡してしまう可能性があるというのが難点です。
「立会受領」の場合は、Bが約束を破って先にAのところに行ってしまい代金を受け取ってしまえばCはAに何も請求できなくなってしまいます。したがって立会受領の場合は約束をしたらその足でBと一緒にAのところに集金に行く必要があります。もっとも、その時にAに対する債権の弁済期が到来していなければAから取り立てることはできません。
「代理受領」の場合は、代理受領は委任契約でありBから一方的に解除することができるので、BはCに解除したと通知するだけで自ら取立に行くことができます。またCは取立の代理権が与えられただけでAに対する債権はあくまでBに帰属していますから、Cの取立前にBが第三者に債権譲渡、質入れをすることもできます。
したがって委任状でこれらのことをで禁止しておく必要がありますし、またAがC以外の人に払わないようAの承諾を取り付けた上で委任状にもその旨の記載をしAの署名押印をもらっておくのがよいでしょう。
しかしこのようにしておいても、Aに対する債権が第三者に差し押さえられたり、譲渡、質入れされた場合は、Cはその第三者に対抗できないと考えられています。したがって代理受領を受けた場合、Aに対する債権の弁済期が到来していれば直ちにAのところに取立に行く必要があります。

2015/01/04(日) カテゴリー:

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