交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由
まず思いつくのは、保険会社の担当者です。
交通事故の被害にあった場合、加害者が任意保険に加入していれば、保険会社が、治療費などを支払ってくれるのが通常です。
そこで、被害者としては、加害者側の保険会社を味方と勘違いしてしまう場合もあるようです。
しかし、加害者側の保険会社と被害者とは、完全に利害が反しています。
なぜなら、保険会社としては、利益を上げなければなりませんが、被害者に多く賠償金を払いすぎると、保険会社が損をしてしまいます。
反対に、被害者に対して少ない支払いをすれば、保険会社に利益が上がるためです。
したがって、加害者が保険会社を味方と勘違いしないことがまず大切です。
次に、交通事故に被害にあった経験者に相談することが考えられます。
確かに、経験したことを聞くのは参考になると思います。
しかし、それは1回の経験に過ぎません。
交通事故の被害にも様々があり、個別の事案ごとに、論点が異なったり、法律的な考え方が異なったりします。
したがって、専門知識のない経験者の話だけを信用していると、思わぬ損をすることになる可能性があります。
したがって、経験者の話を参考にするのは良いのですが、その話を鵜呑みにしてはいけません。
では交通事故被害者は、誰に相談すれば良いのかと言うと、それは弁護士に相談すべきだと思います。
その理由は7つあります。
1つ目は、交通事故の被害者と弁護士は利害が一致するためです。
先ほど、保険会社と交通事故の被害者の利害は相反すると説明しました。
しかし、弁護士の場合には、成功報酬で依頼を受けることが多く、依頼者が獲得する賠償金が多ければ多いほど報酬も増えるので、その点で利害が一致するのです。
したがって、弁護士は、依頼者のために全力を尽くしてくれることになります。
これが、交通事故の被害者が弁護士に相談すべき理由の1つ目です。
2つ目の理由は、弁護士だけが刑事事件についてアドバイスをくれる点です。
交通事故が発生すると、民事の損害賠償の間に加害者の刑事事件が進みます。
被害者としては、加害者を罰して欲しいと願うでしょうが、刑事事件がどのように進むかについては、知らない人が多いと思います。
加害者に弁護人がついて刑事事件の弁護をする場合、見舞金などを持ってくることがあります。これは受け取った方が良いのでしょうか。
受け取るか受け取らないかによって刑事事件に影響が出ることがあります。
また、民事示談交渉の進展具合によって、刑事事件に影響が出ることがあります。
これらについても、交通事故の被害者としては、適切なアドバイスが欲しいところです。
刑事事件について、豊富な知識を持っているのは、裁判官や検察官を除けば、弁護士しかいませんので、刑事事件については、弁護士に説明やアドバイスをもらうのが望ましいといえます。
これが、交通事故の被害者が弁護士に相談すべき理由の2つ目です。
3つめの理由は、交通事故の損害賠償には、3つの基準があるためです。
3つの基準と言うのは、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つです。
自賠責基準は、自賠責保険の支払い基準のことです。
自賠責保険基準は、交通事故の被害者に対する最低限の保障を定める基準のことです。
したがって、本来被害者が得ることができる損害賠償額の適正額を示すものではなく、それよりも低い金額となります。
保険会社の中には、この自賠責基準を示談金として提示するしてくる場合があるのです。
このような場合には決して示談をしてはいけません。
任意保険基準と言うのは、保険会社が独自に定めている基準で会社ごとに異なります。
自賠責基準よりも高いけれども適正な基準よりも低いと言う場合が通常です。
この任意保険基準でも示談しない方がいいでしょう。
最後の弁護士基準と言うのは、裁判で認められる基準のことで、法律上被害者が得ることができる適正な金額のことです。
交通事故の被害者としては、この弁護士基準に従って、示談交渉しなければなりません。
これら基準についても、弁護士でないと判断が難しいと思いますので、やはり弁護士に相談した方が良いと思います。
これが、交通事故被害者が弁護士に相談すべき3つ目の理由です。
4つ目の理由は、弁護士に依頼すると示談金が増額されることが多いことです。
理由を説明したいと思います。
保険会社は利益を上げなければなりません。
利益を上げるためには売り上げを伸ばすとともに、支払いを少なくする努力が必要となってきます。
保険会社の支出の多くを占めるのは、保険金の支払いです。
交通事故の場合には、それは、被害者に対する示談金の支払いということになります。
そうすると、保険会社が利益を上げるためには、できるだけ被害者に対する支払いを少なくしなければならないという力が働くことになるのです。
そのために、保険会社は、本来被害者に支払うなければならない金額よりも低い金額を提示することが多くなってくるのです。
しかし、被害者の代理人に弁護士がつくと、示談金が総額されることが多くなります。
弁護士が代理人となると、当然のごとく弁護士基準で示談交渉してくることになります。
そして保険会社がそれに応じない場合には裁判を起こされます。
裁判をされると弁護士基準で解決せざるをえなくなります。
また、裁判では保険会社のほうも弁護士をつけて弁護士報酬を払わなければならなくなります。支出が増えるのです。
そうであれば、裁判になる前に、弁護士とのあいだで、金額を増額してでも示談した方が保険会社として得という判断になるわけです。
これが、被害者側に、弁護士がつくと、示談金が増額するからくりとなります。
このような意味でも、交通事故被害者が弁護士に相談する方が良いと思います。
5つ目の理由は、弁護士に依頼すると、保険会社との煩わしいやりとりから解放されると言うことです。
交通事故の被害者は怪我をして、治療をしたり、会社で苦労したり、いろいろな苦労があります。
その間に保険会社とやりとりをしたり、厳しい示談交渉をするとなると、精神的に大きな負担となります。
弁護士に依頼すればそのやりとりから解放されるのです。
交通事故の被害者の中には、賠償金の増額よりも、保険会社との示談交渉から解放されることを望んで弁護士に依頼する方もいます。
その上賠償金が増額するとなるのであればやはり弁護士に相談依頼等を検討した方が良いと思います。
6つ目の理由は、裁判をするとさらに賠償金が増える可能性があることです。
先ほど、弁護士が代理人につくと、示談金が増額することが多いとご説明しましたが、裁判をすると、さらに増額する可能性があります。
裁判をして判決になった場合には、賠償金のほかに、弁護士費用相当額が損害賠償金として上乗せされることが一般的です。弁護士費用相当額は、一般的には、損害賠償額の10%以内です。
示談交渉における示談の場合には弁護士報酬は被害者が自分で負担するのが通常です。
しかし、裁判で判決になった場合は加害者に弁護士費用の一部を負担させることができる扱いになっているのです。
また、裁判で判決までいくと、事故から年5%の割合による遅延損害金が付加されます。
したがって事故から年数が経っていればそれだけ賠償金額も大きくなるということです。
したがって、とことん賠償金を増やしたいとなると、弁護士を依頼して、裁判を起こして最後の判決まで取ることを検討することになります。
しかし、裁判はとても難しいので、弁護士に依頼しないとなかなかできるものではありません。
その意味でも、自分の場合は裁判起こしたほうが得なのか損なのかについて弁護士に相談した方がいいと思います。
7つ目の理由としては、被害者側の保険会社が弁護士費用を払ってくれる可能性があることです。
通常、交通事故の被害にあった場合には、慰謝料等は、加害者側の保険会社が支払ってくれます。
しかし被害者としては、自分の任意保険も確認しておく必要があります。
というのは、加害者側から払ってもらえる保険のほかに、被害者側の保険会社が支払ってくれる保険金もあるためです。
その中の1つに、弁護士費用特約という保険があります。
これは、交通事故で弁護士に依頼した場合に被害者が弁護士に支払うべき報酬を保険金で払ってくれると言うものです。
通常は300万円が上限となっていると思います。
保険で弁護士費用が賄われるならば、これは利用しないてはありません。
そのような場合には、特に弁護士に依頼した方が良いと言うことになるでしょう。
以上のように、交通事故の被害者は弁護士に相談したほうがいいと思います。
ただし、どの弁護士でも良いというわけではありません。
弁護士の得意不得意があり、必ずしも交通事故が得意というわけでは無いのです。
交通事故の弁護をするためには損害賠償という法律上の問題のほか、医学的な知識や、保険に関する知識、後遺障害等級に関する知識などが要求されます。
これでは、深い知識と経験がないとなかなか身につけられものではありません。
したがって、交通事故の被害者が弁護士に相談する際には交通事故が得意な弁護士を探すことが必要になります。
交通事故の専門家を探すには、紹介がいいとは限りません。
インターネットで検索をして、ホームページを探し、交通事故の法律専門書を書いているか、解決実績が豊富であるか、テレビのニュース等からコメントを求められているかなどを参考にすると良いでしょう。
ぜひ、良い弁護士を見つけて、適正な解決をすることを望んで願っています。
さらに詳しく知りたい人は、こちら。
民法改正について
- 本サイトの動画解説は、2020年3月31日までに発生した交通事故を前提としています。ライプニッツ係数、遅延損害金などに改正があります。
- 民法改正により、2020年4月1日以降は、損害賠償請求権の消滅時効のうち、人身損害については、3年ではなく、5年となります。
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